振り向くと人がいた。
曖昧に笑った。私は岩陰で着替えたところだった。
「大丈夫です」
相手の若い女の子も笑っている。中年の男性一人に若い娘二人。3人とも同じ上着を着ている。
「ただモンじゃなかったんですね、環境省なんですね」
私は着替えを見られたかもしれない照れ隠しかよく喋った。
「私達ついこの間、大菩薩嶺に登ったんですけど、その時も環境省の方に会ったんです」
「それ、僕達かもしれません」
突然男性が言った。
「雷岩を降りて来てゴミを拾ってましたよ」
「僕達です」
ええっ?!こんな山の中で、こんな偶然ある