村木 嵐 の 「まいまいつぶろ」

★3.5 9代将軍となった長福丸(家重)と寵臣の兵庫(大岡忠光)の物語。生まれた時からの障害で言葉がうまくしゃべれず、手が震えて字もかけず己の意志の伝達ができない長福丸。頻尿障害もあり、歩いた後には尿を引きずった跡が残り「まいまいつぶろ(カタツムリ)と馬鹿にされた主君。

14歳の長福丸の前に現れたのが16歳の兵庫で、初めて発する言葉を理解する男である。誰もが怪しむのは、忠光が言うように、本当に長福丸がしゃべっているのかということ。忠光が捏造しているのではないかと思うことである。

一族である大岡忠相は小姓となる兵庫に「目や耳となってはならん、た