『言問橋の少年』

 確か自分が小学校3年生の3月11日、向島の親戚宅で伯父の法要があった時のこと。 朝方、母に連れられ隅田川堤を歩いていた時、言問橋際の欄干にもたれ座り込んでる坊主頭の少年を見かけた。 すぐ近くというわけでもなく、はっきりとは見えなかったが、自分と年恰好も近そうな少年だった。 うつむいていて、汚れた白いYシャツと黒っぽい半ズボン、足は裸足のようだった。 3月でまだ肌寒い日、風が吹き抜ける橋の上で寒くないのかなと心配になり、母に『ね、あの子!』と言ったが、母は急いでたようで気に留めず、自分もそのまま通り過ぎた。

 その2年後、同じ3月11日の朝も年忌法