連載:作文

「お女郎屋」さがしのサイクリング


街道にたてば、若者の動きがよみがえるよう。

「十分のちには、清三の姿は張:はり:見世:みせ:にごてごてと白粉をつけて、赤いものずくめの衣服で飾りたてた女の格子の前に立っていた。こちらの軒からあちらの軒に歩いて行った。細い格子の中にはいって、あやうく羽織の袖を破られようとした」。

小説「田舎教師」のこの場面は、「中田:なかだ」という所。
埼玉県・栗橋から利根川をわたって日光街道に入り、その中田の町をみとおしながら主人公「清三」の心をさぐってみた。

郭町に足をふみいれるには教師というしごとが邪魔をするが、それでも体の欲がまさる。