母が伝えたかった事

 時々僕の思考回路に、突然進入してくる声がある。それは、大変困って判断の難しい時に、明るい笑顔で囁くように、僕の耳に届いた。いつからだろうと 記憶を増幅して思い出そうとしていた。それは母が生前よく言った言葉でした。「努力して、うまくいくとは限らない、しかし努力しなければ問題可決にはならないょ」 母が亡くなる5年目、人工透析をしていて副作用で目がほとんど見えない状態で、私が通勤する前に、病院へ車で送るのが当たり前になっていた。家の周りは当時、田んぼが広がっていて、平日のある日、車に母を乗せようとして、母は水の張った十二月の田んぼに落