スーツケースに入る核爆弾

 今野敏の「署長シンドローム」を読了した。著者は、警察小説、SF、バイオレンス・アクション、伝奇小説、オカルト等、広い作風で知られた小説家で、2013年から2019年まで日本推理作家協会代表理事を務めている。本書は、「隠蔽捜査」でお馴染みの竜崎伸也の後任の大森署署長に赴任した超絶美人キャリアの藍本小百合の、少し天然な大活躍を描いた警察小説である。なお、本書の視点人物は大森署副署長の貝沼悦郎警視である。
 所轄署の大森署は異例なことに、竜崎の後任として藍本という、二代続けてキャリア署長を迎える。単なるキャリア署長でも大変なのに、藍本は超絶的な美女であり、