藤原ていの「流れる星は生きている」

 タイトルからして何と人間ロマンに満ちた素敵なドラマだろうと思った。内容は大陸において終戦を迎え、敵国民として追われるようにして祖国を目指す二人のお子を抱えた母の苦難の道のり。
 わが両親が辿ったと思われる祖国への道を目指す、子の無事をのみ祈り、命がけで激流を渡る母の姿が、わが両親の姿とダブって、読みながら背を震わせた。
 すでに本の表紙はセピア色に染まっているが、座右の書として今も本棚に収まっている。

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