連載:作文

おしゃべりサイクリング>丸墓山古墳


忍城がみえて、声あがる。
その声がするのは丸墓山古墳のてっぺんで、その昔に石田三成がその城の水攻めをもくろんだとされる17メートルの高台。
「城のまわりを水浸しにして城主の成田氏長(なりたうじなが)を降参させてやるわい」とでも三成は言ったか。
今の時代の鉄塔やビルのあいだにひそむその忍城は小さく見え、白壁はまわりの影で灰色にくすむので、古墳の99もの階段をのぼって、頭ふらつく観光客には見つけにくい。
「忍城はどこに」、「見えない、分からない」の声に女性ずきのわたしはおっさんらを無視して、女性のみに説明する。
「大きな鉄塔が見えるでしょう。そ