福田くんの白い蘭


大学時代、家庭教師のアルバイト先から、見事な白い蘭を戴きました。中学生の男の子のお母さん。可愛らしくて可憐なかたで、男の子のお姉さん、と言っても差し支えないようなかたでした。

その蘭、40年の月日を経て、まだ見事に花をつけ、株分けもしました。

この時期部屋に入れると、必ず律儀に花芽を付けてくれるその蘭。

福田くん、中学生のあなたは、私のことなど覚えていないでしょうね。お母様はお元気ですか?今も東京にお住まいですか?そして、月日が経ち、私達、そう変わらないお年頃になりましたね。

あの蘭が、東京から九州まで旅をしたことも、もちろん