連載:知ることの地平

人工知能との対決で人が負けるわけ

羽生善治さんの『人工知能の核心』という本が面白い。
羽生さんは言わずとしれた将棋世界のレジェンドみたいな方で、永世七冠という称号を持っている。

実際、人工知能に敗北し続けているというのが、将棋対決の結果なのだが(碁の世界でも同様)、その理由について示唆に富む指摘をされている。

ひつとは、対戦経験の圧倒的な豊富さ。
プログラムで動くソフト同士を対戦させると、短時間のうちに、何十万局という対戦経験をつみ、そこから勝つルールを見出し、手を洗練させることができる。
人間であれば名人戦など、何十時間をかけて対戦するところを、あっという間に決着がつ