連載:シニア

「市役所から真っ赤な封筒が来た」

「今日は14日、赤穂浪士の討ち入りですよ。テレビで見ると雪が降ってたんですよね。暖かいですね、今年は」
「今の若い人は信じられないでしょうね。自分の命を捨ててまで仇討ちをするなんて」

A子さんは自分で塗り絵を持って来てやっていた。大の仲良しだったB子さんの事に触れずに暫く話をした。

席も向かい合いで、毎日一緒にお喋りしていたB子さんがいなくなったのに、A子さんはその事に全く触れない。

忘れたのだろうか。だとしたら、身近な人がいなくなった寂しさも感じない事になる。

隣のC子さんも塗り絵に夢中だ。この方は車椅子になり7~8年になるだ