タオレテ、ノチ、ヤム(斃れて後已む)94歳の想いと暮らし(6)今が人生最高のとき

 妻を失って4年半になる。
 彼女の晩年は寝たきりの暮らしだった。
 妻が介護施設へ入るのを嫌がったので、自宅での老々介護が私の生活になった。
 ときどき娘の支援を頼んだが、娘は自分の仕事をもっての自分の家庭の暮らしがある。
 なるべく彼女の時間をつぶさないよう、介護保険をフルに利用しての介護の毎日を過ごした私だった。
 たいへんではあった。介護というのは、あてど、のない虚しさに、打ちひしがれそうになる時がある。
 しかし、私はこう考えた。
 当然男の私から求めて夫婦となり、家庭をつくり子供を育てた。
 子供たちが巣立って行った後の今、愛したひとのためだ