宮城谷昌光の「諸葛亮（上、下）」を読了した。著者は直木賞作家で、主として中国および日本を舞台とした歴史小説を手掛けている。本書は、三国時代きっての天才軍師と言われる諸葛亮の評伝小説である。なお、亮が諱（本名）であり、一般に有名な孔明は字（あざな）である。
　諸葛亮は建興12年（234年）に徐州琅邪郡陽都県で諸葛珪の次男として生まれ、兄に諸葛瑾、弟に諸葛均がおり、二人の姉がいる。志学と言われる十五歳になった時、彼とは八歳齢の離れた兄は叔父の諸葛玄の資金援助で後漢の都の洛陽に留学する。諸葛玄は名門の家に生まれた袁術と面識があり、袁術に諸葛瑾の世話を頼んだ