連載:

「蝋梅と啓翁桜」

シャッターが半分降りている。休みなのだろうか。引き戸に手を掛けた。開く。
「こんにちはー!」

ハイと小さく答えた。
「お花屋、やってますかぁ」
「ハイ」

そう言ってあの店主が出て来た。
「蝋梅ありますか?」
「あすこにあるけど、もう終わりだよ」

店主が指差す先に黄色い花を見つけた。
「年内に来なきゃダメだよ」
「あっ、それ去年も言われました」

「これならまだ蕾がある」
十分だ。
「桜も下さい」
「啓翁桜ね。もう咲いちゃったからタダでいいよ」

そう言って可憐な花が沢山咲いている啓翁桜を一本取り、蝋梅と組み合