松本清張 の 「火の縄」

紹介には「鉄砲にかけては百発百中の名手・稲富治介(いなどめじすけ)は風采のあがらない無骨者のため細川忠興、ガラシア夫妻にうとまれ出陣の機会も与えられず不遇の一生を終えた」とあるが、物語の大半は藤孝、忠興、ガラシア3人の生きざまを描いている。特に忠興とガラシアのややこしい夫婦関係が主体。

物語は信長が丹波を光秀、丹後を忠興に与えたところから始まる。丹後を制圧したとはいえ、弓木城には古豪の一色義有がいた。藤孝は一旦は娘の伊与を輿入れさせて、油断させて討ち取る。稲富治介はこの一色家の家臣としていたが鉄砲の腕を認められ助命されて細川家へ仕えることになる。