「松本清張」の日記一覧

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5月1日から15日までに読んだ本

①夜明け前 第1部(下) 島崎藤村 岩波文庫  黒船の来航から、日ごとに世の中が変わっていく様子が、木曽路に生活する人々の様子を中心に描かれる。物語の進展は、まるで、幕末の様子を日本史の教科書で追いかけるようでもあった。戊辰戦争から、廃藩置県、大政奉還、そして王政復古とダイナミックに日本が動く様子が、淡々とした文章で描かれる。 ②十万分の一の偶然(松本清張 文春文庫)  新聞の「読者のニュー…

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3月16日から31日までに読んだ本

①混声の森(下)(松本清張  光文社文庫)  専務理事の石田の野望は、文字通り成功裏に終わるかに見えた。新学長を迎えての記者会見も滞りなく終わった。後は、新体制による大学の教育方針の刷新と、具体的な組織の再編に向かうところである。しかし、理事長就任を果たした石田の心中に言いようのない不安が影を落とす。新学長との面接の中で、石田は忠誠を誓うが、ややあって、新学長から理事長辞任の方針が示される。石田…

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2月16日から29日までに読んだ本

①黄色い風土(松本清張 講談社文庫)  本編だけで748頁の長編。北海道は小樽、熱海の錦ヶ浦、名古屋などで連続して起きる6件の変死の発見は、そのいずれもが殺人事件であった。敏腕の記者「若宮」が事件を追いかける先々で事件の背後にある組織らしいものを朧げにつかみ始める。  太平洋戦争末期に行われていたB作戦とはつまりは偽札を印刷し、侵攻先の物資を入手し、経済を混乱させるものであったが、その機械と、高…

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松本清張 の 「火の縄」

紹介には「鉄砲にかけては百発百中の名手・稲富治介(いなどめじすけ)は風采のあがらない無骨者のため細川忠興、ガラシア夫妻にうとまれ出陣の機会も与えられず不遇の一生を終えた」とあるが、物語の大半は藤孝、忠興、ガラシア3人の生きざまを描いている。特に忠興とガラシアのややこしい夫婦関係が主体。 物語は信長が丹波を光秀、丹後を忠興に与えたところから始まる。丹後を制圧したとはいえ、弓木城には古豪の一色…

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松本清張ドラマ「共犯者」

先日、BSで放送していた松本清張のドラマを見ました。 「共犯者」。 何度かドラマ化されていて、こちらは賀来千香子さん主演のやつ。 ストーリーは、 レストランチェーン店の女社長・内堀江梨子(賀来千香子)には、誰にも言えない過去があった。 8年前、神戸の卸売市場で、キツい仕事をしていた江梨子は、 同じ市場で働いていた町田夏海(とよた真帆)に盗みの仕事を誘われ実行す…

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紫煙随想 ー安居の中で眩人・玄昉(松本清張)を想う ー

立秋も1か月を過ぎ、空を見れば夏雲の間に秋の雲が僅かだが空を刷くようになってきている。そして夜になると虫の音が、という時季ではあるが炎帝が去る気配はない。相変わらずの炎暑。 わが住まいのさいたま市も9月に入っても連日猛暑日を記録している。 仏教の世界では「夏安居」として暑い間は托鉢など遊行の修行をせず、寺内で勉強しなさい、と言っている。「あんご」という。 私の場合の「安居」は「あんご」では…