梶よう子 の 「商い同心 人情そろばん御用帖」

★3.3 時代は天保の改革に失敗し失脚した水野忠邦の後の時代。前作から丁度10年にしてシリーズ2作目。物語は前作から3年経過している。

北町奉行所の諸色調掛同心の澤本神人(じんにん)は諸色掛名主でもある横山町の町名主・丸屋勘兵衛を懇意にしている。諸色調掛は市中の品物の値が適正かどうか監察し、禁じられた出版物が版行されていないか目を配る仕事である。

神人は30半ばで未だ嫁取もできず、10歳の姪・多代を娘として育てている。八丁堀の屋敷には通いの大年増おふくが飯炊きに通っている。妹の初津は道場の弟弟子に嫁いだが姑と折り合いが悪く、離縁された時に