梶よう子の「広重ぶるう」を読了した。著者は時代小説を主なテリトリーとする作家である。本書は、風景画、名所絵を得意とする代表的な浮世絵師である歌川広重の生涯を描いた時代小説である。 歌川広重は本名が安藤重右衛門であり、江戸八代洲河岸定火消屋敷の同心、安藤源右衛門の子として寛政九年(1797年)に誕生している。源右衛門は入り婿であり、養父の安藤十右衛門との間に確執があった。文化六年(1809年…
梶よう子の「吾妻おもかげ」を読了した。著者は時代小説を主なテリトリーとする作家である。本書は、浮世絵の祖と称される菱川師宣の生涯を描いた時代小説である。 菱川吉兵衛は吉原できれいな遊びをすることで知られており、どこかのお大尽の息子と考えられていたが、実際は安房国保田の縫箔師の息子だった。その吉兵衛が贔屓にしている格子女郎の小紫は情の強い女であり、今でも彼に心を許していない。その小紫を挟み、吉…
1.ヨイ豊 (2015.10) https://smcb.jp/diaries/6977175 2.葵の月 (206.04) https://smcb.jp/diaries/7213946 3.北斎まんだら (2017.02) https://smcb.jp/diaries/7387437 4.墨の香 (2017.09) https://smcb.jp/diarie…
梶よう子の「赤い風」を読了した。著者は時代小説を主なテリトリーとする作家である。本書は、川越藩主柳沢吉保の命により、水もなく、赤土を巻き込んだ空っ風が吹き荒れる武蔵野台地の原野の開拓に協力して挑んだ武士と農民の姿を描いた時代小説である。 武蔵野台地は北の入間川、荒川と南の多摩川によって画される広大な土地である。徳川時代に川越に最初に入封したのは酒井家(重忠)で、その数代を経て松平信綱の孫の信…