連載:短歌日記

三井修さんの「汽水域」を読む

この歌集は2016年に刊行されたものですが、「能登晩秋」という18首の連作が収められている。作者が能登輪島の出身ということが分かって大変興味深く読ませていただいた。
印象に残った歌を紹介する。

城跡に上れば苔を纏いつつ瞑想をする桜古木よ

能登には有名な七尾城はじめたくさんの山城が残されているが、この城跡は七尾市の小丸城はないかと思う。次に利家とまつの銅像が歌われているからである。

思い出の中に暗しと思いいしこの町今日はかくも明るし

作者は小学生まで輪島に住んだようだ。作者の記憶にあるふる里はいつもどんよりとした曇りのイメージだっ