鮮度良き諸子腸ごと唐揚げに



 野火止の雨後の水嵩蛍の火  金子きくえ

 男ゆく野火の種火の藁提げて 加古みちよ

 野火煙水墨画めく山路かな   稲畑廣太郎

 野火走るそこだけ風の育ちをり  板倉幸子

 まだほのと野火の匂へる句帖かな 岩岡中正

 風落ちて走り疲れの野火の脚  鮎川富美子

 あたゝかや野焼過ぎなる雨となり  小杉余子

 テレビにて秋吉台の野焼き見る  アロマ

 しらぬひの筑紫小島の野火けむり  西島麦南

 ペン置くや暮れて野焼の火の残る  石川桂郎

 はるばると来てはろばろの野焼見つ  林翔

 古き世の火の色うごく野焼かな  飯田