連載:シニア

「記念撮影」

旅に出ようと孫の世話に明け暮れようと、仕事には行く。

一日中カルタをしている婆様がいる。
「これで何回目ですか?」
「初めてだよぉ」
毎回毎回「初めてやる」感覚。羨ましい。

隣の婆様はホームに入居して何年も経つのに、「三日も家を空けたら不用心だから帰ります」と夕方が近づくと言う。

「それは心配ですね。でも今日はもう夕食の用意をしてありますから、泊まって行ってくださいね」
そう言って手を繋いで歩く。夕方は誰だって寂しくなる。手の温もりが嬉しい。

帰宅して友人にラインした。いつまでも既読が付かない。明日は会う約束になっている。どうしたのだろう。気が変