『万葉集』を訓(よ)む(その二千八十六)

 今回は、一七一九番歌を訓む。題詞に「春日蔵歌一首」とあり、本歌は「春日蔵(かすがのくら)の歌(うた)」である。「春日蔵」について、金井『萬葉集全注』は次のように注している。

 ○春日蔵 春日蔵首老のことであろう。僧名弁紀(続紀)あるいは弁基(万葉)、大宝元年(七〇一)三月、還俗し、上記の氏名を賜わった。3・二九八の「弁基の歌一首」を含んで七種の作を集中に残している。和銅七年(七一四)に従五位下。懐風藻に「従五位下常陸介春日蔵首老一絶 年五十二 五言述懷」の詩一編がある。記された年齢は没年か詩作時は不明。

 本歌には、左注があるので、以下にその原文、