幻に建つ都府楼や菜種梅雨　　 野村喜舟

　朝刊の匂ひをひらく菜種梅雨 　井上雪

　小店それなりの売上菜種梅雨 　　鈴木真砂女

　くらしの灯いきいき点す菜種梅雨 　鈴木真砂女

　夜の明ける色に従ひ菜種梅雨 　廣瀬直人

　ちかづきになりてくつろぐ花見かな 　水田正秀

　出先まで花見弁当とどけられ　 上村占魚

　売る菓子の乾く花見の裏通り　 桂信子

　新しきのれんの花見茶屋に入り 　上野泰 佐介

　春雷や花見過たる町の空 　　篠原温亭

　都府楼へ花人傘をさし列ね 　加賀谷凡秋

　一行に大風となり桜狩 　　星野立子

　今日は朝から