偽りのオークションに参加した人々

 大沢在昌の「予幻-ボディガード・キリ-」を読了した。著者は直木賞作家で、「新宿鮫」シリーズ等で著名なハードボイルド作家である。本書は、日本古武術の達人で、凄腕のボディガードであるキリの活躍を描いた「ボディガード・キリ」シリーズの第三作で、亡き父親が書いた機密文書を預けられた女子大生のボディガードを依頼されたキリの活躍を描いたサスペンス小説である。
 品川駅港南口近くの古い工場を借りて住んでいるキリは、地上げの下請けのヤクザに襲われる。しかし、フィクサーの睦月とその部下の如月と弥生の助力もあり、襲撃者を撃退する。睦月は彼に、東亜文化大学大学院生の岡崎紅火