もう30年以上以前の事、近畿地方にいた頃、毎週一回、私は近鉄特急に乗って名古屋市に出てある大学の非常勤講師として2コマの授業を行った。ある日、その帰りに名古屋の書店で一冊の本を手にしてたまたまあるページを開くと、
ヨウヨウとして鳴く雁は
翼を奮いて北に遊び
時にしたがいて動き
意を得て憂いを忘る
ああ、我、憤嘆す
嘗て、ともとするあとうなし
事は願いと違い
この淹留に遭えり・・・
これを見てびっくりしました。自分の今の心境にぴったりだったからです。幽憤詩という詩の一節でした。『中国古典詩聚花・思索と詠懐』(大山正美著・小学館)とい