『ボダ子』(赤松利市著)は62歳でデビューした私の4作目の作品。小説家というものは、少なくも私は、実体験に基づきながら物語を紡ぐものだと認識しています、と

序章
 ボーダーだからボダ子。ボーダーとは境界性人格障害と呼ばれる深刻な精神障害。 早く身軽になって、好きなだけ残業をしたいと思った。 ダンクス。 ダブル・インカム・ノー・キッズ 子供を持たず、それぞれ職業活動に従事する夫婦。当時、持て囃されたライフスタイルだ。 充実した家庭を失ってまで、仕事を成し得たという清々しさが、浩平の胸を満たしていた。 勤め人稼業に飽きたー 植物病理学を専門とする父親が、芝生の病害の権威として業界に知られていたので。 今のうちに、色々なことを体験しておいて無駄はない。鷹揚に構える気持ちの裏には、自分の才能と能力に対する絶対的な自