『ボダ子』(続)(赤松利市著)

 陥穽
 娘が境界性人格障害と診断されて入院し、その後強制退院になって、兵庫で暮らすようになってからは、鎌倉の嫁とは音信不通だった。
 水泡
 及川 香坂 香坂のプロフィールを思い出した。 周囲から感嘆の声が上がる出来栄えだった。
 瓦解
 娘を探しに行くのだという高揚感はなかった。 無一物の自分が巡り合えたとして、何ができるとも思えなかった。目を閉じて深い眠りに落ちた。
 終章
 二年前、いつものマンガ喫茶で不意に思いついて小説を書き始めた。以前文学賞の大賞を受賞したことを思い出して書いた。あのときは、作家になる気など毛頭なかった。 小説を書き続ける気