イリーナ・ラトゥシンスカヤ『強制収容所へようこそ』双書・20世紀紀行、矢田雅子・片岡みい子訳、晶文社、四六判上製、572頁、1991年(原書1988年)、読了。

 矯正労働収容所(マーラヤ・ゾーナ(Малая Зона 小さな家:「女子政治犯ゾーナ」)の過酷極まる、1980年代ソ連・ロシア人による記憶されるべき収監記録、「灰色の制服」を着た女性たちの記録である。過酷な情況のもとで超人的な観察や分析に基づいて明らかにされる、ノンフィクション・細々した非人道的事象の数々に打ちのめされる。収容所の実態暴露、ある意味でKGBとの闘いだ。
 まず、Wikipediaと本書(『強制収容所へようこそ』)によれば、著者イリーナ・ボリーソヴナ・ラトゥシンスカヤ(Ирина Борисовна Ратушинская)はウクライナの