「宮部みゆき」の日記一覧

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体重過多のひだる神

 宮部みゆきの「三鬼-三島屋変調百物語四之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」、「あんじゅう」、「泣き童子」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第四作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。  本書の主人公のおちかは、川崎の旅籠の娘であるが、彼女に近しい若い男性が二人訳あって亡くなったため、江戸は神田の袋物屋三…

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ドッペルゲンガーを見た者

 宮部みゆきの「希望荘」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、最近の著者には珍しい現代物で、「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」に続く杉村三郎シリーズの第三作で、四編からなる連作短編集である。  本書の主人公は、大財閥会長の妾腹の娘といわゆる逆玉の輿結婚をしたが、前作の「ペテロの葬列」で妻が不倫したため、離婚している。本書では…

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出来損ないの世界⑤

宮部みゆきの「ここはボツコニアン FINAL ためらいの迷宮」を読了した。本シリーズは、R.P.G.愛好家で知られる著者が、本業であるミステリーや時代小説の余技として書いたR.P.G.風物語と思われる。なお、標題のボツコニアンは、テレビゲームのボツネタの世界を指している。  さて、ほぼ年に一冊刊行される、超ゆるキャラ雰囲気の本シリーズも遂に最終巻である。ストーリーの展開から考えて、一時期は10年…

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世界遺産の古城の中で

宮部みゆきの「過ぎ去りし王国の城」を読了した。著者は直木賞作家で、時代小説、ミステリー、ファンタジー等、多方面の作品を手掛けている。本書は、パラレルワールドからの過去改変をモチーフとしたファンタジーである。  平凡を絵に描いたような中学三年生の尾垣真は、中程度の高校に推薦入学が決まっていたので、暇な三学期を送っていた。ある日真は、銀行にお遣いに行かされ、ひょんなことから銀行の壁に展示されていた古…

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臨死からの生還

宮部みゆきの「ドリームバスター 4」を読了した。著者は直木賞作家で、時代小説、ミステリー、ファンタジー、SF等、多方面の作品を手掛けている。本書は、地球とは位相の異なる惑星「テーラ」から地球に逃走し、地球人の悪夢の中に逃げ込んだ凶悪犯を狩るハンター「ドリームバスター(D・B)」の活躍を描いた一種のパラレル・ワールドSFの第四作である。なお本書は、前作の「時間鉱山part1」を受け継ぐ形で、ほぼ全…