「宮部みゆき」の日記一覧

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流罪になった切支丹の呪い

 宮部みゆきの「黒武御神火御殿-三島屋変調百物語六之続-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第六作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。本書の前作で、シリーズ開始以来の百物語の聞き手のおちかが嫁に行き、本書から三島屋の黒白の間に…

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「心とろかすような」

宮部みゆきさんの初期の作品。 もと警察犬マサ、現在は探偵事務所の用心犬の一人称で話は進む。マサの目をお通して描く5つの事件~マサが可愛い♪ 読みそびれていたので読んだが 面白かった。

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保安官は何でも知っている

 宮部みゆきの「さよならの儀式-8 Science Fiction Stories-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、著者の久し振りのSF風味の作品を集めた短編集である。  「母の法律」:虐待を受けた子供と虐待したその親の両方を救済するための、「マザー法」が施行されている世界の話。その世界では国が、児童虐待が起こった親子…

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宮部みゆき著『ソロモンの偽証』全3巻読了

バブル崩壊直前、下町の中学校で起きた男子生徒による自殺。 ところが警察も自殺と認定した事件に、これは他殺であるという告発状が関係者3人に送られます。 告発されたのは札付きのワルで知られる少年と、その子分の二人。 この告発状は関係者を介して警察にも渡りますが、根拠があまりにも乏しく、警察の判断が変わることはありません。 しかし、ワイドショーがこれを嗅ぎつけ、騒ぎは大きくなっていきます。 …

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怪奇小説の一場面

毎日新聞朝刊の連載小説は、今、宮部みゆき作です。いろんな人物が、怪奇な話を、次々に展開する仕組みになっています。私は、もともと、実録物、ドキュメント物が好きなので、この系統は嫌いなはずなのに、毎日、欠かさず読むほど、はまっています。もう218回と書いてありますので、話は、相当進んでいるのですが、今日とりあげようとするのは、語り手が、武蔵野をさすらい、疲れ果てて、大きな民家の、大きな縁側に倒れ込ん…

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ちょっと困った女たち

 宮部みゆきの「昨日がなければ明日もない」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は著者の久し振りの現代物で、杉村三郎シリーズの第五作であり、三編からなる連作中編集である。  「絶対零度」:杉村探偵事務所の記念すべき十人目のお客は、口コミで聞いてきた筥崎静子という名前で50代半ばの中年夫人である。彼女の依頼は、結婚して一年半になる娘…

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宮部みゆき の 孤宿の人 上下

★4.0 エッセイ、対談集「宮部みゆき全一冊(2018.10)」がきっかけで再読することになった。 《上巻》 江戸内神田の建具商・萬屋で女中に手を付けた若旦那の子として生を受けたほう。奉公人の縁戚の家で8歳まで育てられた。旦那と若旦那の重病に修験者の託宣は萬屋を恨む者の縁に繋がる者を金毘羅宮に参拝させ祟りを解けというもの。同行した女中は讃岐の丸海(まるみ)の港で置き去りにした。 ほうは一…

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塩断ちの功罪

 宮部みゆきの「あやかし草紙-三島屋変調百物語伍之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」、「あんじゅう」、「泣き童子」、「三鬼」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第五作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。  本書の主人公のおちかは、川崎の旅籠の娘であるが、彼女に近しい若い男性が二人訳あって亡くなったため、江…

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宮部みゆき著『ドリームバスター4』読了。

シリーズ最終版?を遂に読了しました。 3シリーズの中で張られていた伏線的な登場人物が出てきたので、使えそうな人物はまだまだいそうなので、5が出ないとは限りませんが…。 さて、我々の世界とは別次元のテーラから時間鉱山という時間素という物質の埋まる不思議な世界で行くへ不明になったDB(ドリームバスター)仲間の探索に行った主人公のシェンとマエストロ。 ところが、そこに居たのは、地球の日本という…

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宮部みゆき の あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続

★3.5 シリーズ5作目にして第一部完結とある。何かの取材で作者は百話を完結させると意気込んでいたから、それを信用したい(でも「初ものがたり」の例もあるから・・)。 百話までのおちかの年齢、これはいらぬ心配だった。「あやかし草子」で貸本屋・瓢箪古堂の若旦那・勘一のもとへ嫁ぐことになった。 20歳の春に押掛け女房でである。この物語は完結していないのだ。井泉堂の保有する過去の瓦版の話を抜粋した冊…

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宮部みゆき「理由」

読み終わった。 今の世の中でありそうな家族、社会背景が事件と結び付けられて話は進んでゆく。 「抵当権と短期賃貸借」など、昔、仕事で勉強したことが書かれてもあり思い出し、少し懐かしくも。 作者もよく調べたとなあ感心したが。 丁寧に話が進められていく。でも、見方を変えれば話が長過ぎすると思う。 この作者の「火車」は面白かったが、そのあと読んだ 「荒神」は今一つ。 人気のある作家だが、「理由」を…

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宮部みゆき著『ペテロの葬列』

いつもはずれの無い宮部女史ですが、一段と面白いミステリーでした。 読んでいて、宮部さんはこの本を読んでいるなと思ったのですが… 『心をあやつるる男たち』 https://amzn.to/2vAzfeN ビンゴでした。巻末の参考資料に書かれていました。 興味のある方は、この本も読んでおくといいですよ。 それにしてもバスジャック事件に巻き込まれた主人公が最後に受ける仕打ちに、酷すぎる…と…

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宮部みゆき著『ドリームバスター2』読了

以前紹介した番号の付いていないやつの続編です。 3が控えています。 永遠の生命を得るために人間の心と体を分ける技術に成功したかにみえた異世界で起こった大災厄。 その実験に使われた凶悪犯の魂が逃げ出し、我が地球の日本の一般市民の身体を乗っ取ろうとしている。 その凶悪犯を捕らえることを生業としているのがDB(ドリーム・バスター)なのですが、今回のターゲットは犯罪者と呼ぶには可哀そうな境遇だ…

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紙の面の呪い

 宮部みゆきの「この世の春(上、下)」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代小説、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は基本的には時代小説なのだが、「サイコ&ミステリー」作品でもある。  物語は、宝永7年(1710年)、六代将軍徳川家宣の時代の下野北見藩二万石で始まる。名君と謳われた第五代藩主北見成興の嫡男で、英邁と美貌を誉めそやされていた第六代藩主の北見重興が26歳の若…

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「希望荘」 宮部みゆき著

主人公は杉村三郎。 このシリーズは「誰か」「名もなき毒」「ペテロの葬列」が刊行されていて、4冊目となります。 これらの杉村三郎シリーズの読書日記は: http://hamidashirakuen.blog36.fc2.com/blog-category-122.html 新聞広告(2016年6月25日 朝日新聞)によれば「家庭と仕事を失い、私立探偵なった杉村三郎が 4つの難事件挑む」と。つま…

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宮部みゆきの「この世の春 上下」。

《上巻》 宝永7(1710)年の下野北見藩2万石、藩主は6代北見重興。 序盤の動乱は、重興が乱心で押し込めとなり、郷士から取り立てられた伊東成孝が失脚し咎を。 乱心とは何なのか、伊東成孝はなぜ各務家を頼ったのか、石野織部家がなぜ辞職したのか、これらは中ごろで明らかにされるが新たな謎が。 重興に宿る3人の人格とは、出土村の繰屋一族はなぜ根切にされたのか。重興の纏う殺戮癖の過去は。 これらの…