体重過多のひだる神

 宮部みゆきの「三鬼-三島屋変調百物語四之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」、「あんじゅう」、「泣き童子」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第四作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。
 本書の主人公のおちかは、川崎の旅籠の娘であるが、彼女に近しい若い男性が二人訳あって亡くなったため、江戸は神田の袋物屋三島屋に預けられている。叔父の伊兵衛の計らいで、おちかが百物語の聴き手になるという設定は、前編までと変わらない。
 「迷いの旅籠」:口入屋の灯庵老人が今回連れて来た