世界遺産富士の発する秋の声 松嶋一洋 　遠こだまかへりは秋の声となる 　高田好子 　立ち止まるラファエロ回廊秋の声　 奥田茶々 　スコッチの氷からりと秋の声 稲畑廣太郎 　秋の声集めて山の静寂かな　 竪山道助 　秋の声一人残りし球場に 稲畑廣太郎 　雨戸一枚開くれば入り来秋の声 大橋晄 　秋の声夕焼の子等まだ遊ぶ　　アロマ 　青畳足裏で知…

　ビル高く更にクレーン高き秋 杉良介 　背面に秋のきてゐる千手仏　 須田紅三郎 　先づ日本海の秋見て旅心 稲畑汀子 　秋の気に目覚めてここは湖の宿 能村登四郎 　銀座の灯遠くて近し鯊の秋 　本山車日子 　鳶の笛のびやかなりし島の秋 高濱朋子 　空気澄み空の気配に秋の色　　アロマ 　蜻蛉みな番ひて秋もなかばなり 藤原たかを 　灯のために闇が濃…

　初秋やほのかにしぶきりんご食む 　久保より江 　初秋の伊那の谷間のまんじゅう屋 　森 慎一 　初秋の大きな富士に対しけり　 星野立子 　初秋の三日月ほのと雲のあひ 　西島麦南 人音 　初秋の潮の香闇の波間より 　相河美智子 　飛ぶもののみな新秋のひかり負ふ 　石塚友二 曠日 　初秋でも昼間盛夏の暑さかな　　アロマ 　秋口や酢の効きすぎしにしん漬 　上田五千石 　 　うき出る身を…

　あらたまの空さびしもよ鳶の笛　 市堀 玉宗 　しんしんと雪降る空に鳶の笛　 川端茅舎 　ふるへ声して夕鳶の笛すゞし　 鈴木花蓑 鈴木花蓑句集 　芦の芽のうへに枯芦鳶の笛 　岡井省二 明野 　羽根一片 降らし 飛雪の鳶の笛 　伊丹三樹彦 　外宮さんの春あかつきの鳶の笛 　山田みづえ 　寒鮒を堕して鳶の笛虚空 　しづの女 　空知野の早苗ととのふ鳶の笛 　中條富子 　枯野の杭打てば…

　　　　「アロマ」の句 　午後長けて停車場に雪降り積もる 　春菊に白瀧豆腐ですき焼に　 　親子で回転寿司の茶碗蒸し 　刻み海苔艶やか細目の蕎麦啜る 　紙風船ついて女の童歌 　神社に千歳飴提げ佳き日かな 　灰色の空より風花舞い降りて 　南瓜フライドポテトをレンジにて 　華やぎはポインセチアの赤い葉に 　珈琲淹れて温もる夜半の月 　　　　「川端茅舎」の句 　するすると子…