「浅田次郎」の日記一覧

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馬賊の歌

 浅田次郎の「天子蒙塵 第三巻」を読了した。著者は直木賞作家であるが、自衛隊入隊や一時期企業舎弟をしていた等、ユニークな経歴の持ち主である。作風は広く、極道小説、時代小説、中国歴史小説、現代小説など多岐に渡っており、「小説の大衆食堂」を自称している。本書は、「蒼穹の昴」、「珍妃の井戸」、「中原の虹」、「マンチュリアン・リポート」に続く、著者の中国歴史小説シリーズの第五作である。本巻では主として、…

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従軍作家の見た長城

 浅田次郎の「長く高い壁-The Great Wall-」を読了した。著者は直木賞作家であるが、自衛隊入隊や一時期企業舎弟をしていた等、ユニークな経歴の持ち主である。「小説の大衆食堂」を自称しており、作風は広く、極道小説、時代小説、中国歴史小説、現代小説など多岐に渡っているが、エッセイストとしても多数の作品を上梓している。本書は、万里の長城の張飛嶺で起きた、日本帝國陸軍の一分隊10名全員が死亡し…

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バブルに浮かれず

 浅田次郎の「おもかげ」を再読した。著者は直木賞作家であるが、自衛隊入隊や一時期企業舎弟をしていた等、ユニークな経歴の持ち主である。「小説の大衆食堂」を自称しており、作風は広く、極道小説、時代小説、中国歴史小説、現代小説など多岐に渡っているが、エッセイストとしても多数の作品を上梓している。本書は、定年退職の送別会の帰途に倒れ、ICUに横たわる商社マンの不思議な臨死体験を描いた物語である。  本書…

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おもかげ

浅田次郎、よみました。 主人公は商社マンとして定年を迎え送別会の帰りに倒れ救急搬送される。集中治療室のなかでは昏睡状態。 その時、夢なのか正常な意識のなのか、での不思議な体験をする。体験というべきか夢というべきか。    いろいろな人に出会う。  幼なじみ、マダム・ネージュと呼ばれる女性との食事、昔のガールフレンド、幼くして亡くなった長男、同じ地下鉄で通勤していた女性。  主人公は夢の中で妻…

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● 浅田次郎というプロのワザ

 昨日、東海市の芸術劇場へ行ったのは良いが、休憩時間に浅田次郎の本を読んでいて、涙が出てきて困った。ロビーやホールの中で、何をしていても誰も見てやしない。だとしても、そういうシチュエーションで涙を流すという経験は無いので、何だか恥ずかしい。  TVを観ていてもジワッと来てしまう。それは歳をとった証拠とか言われるが、よりによって公衆の中で泣いているというのは漫画チックだ。 https://i…

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翼に乗って

 浅田次郎の「竜宮城と七夕さま」を読了した。著者は直木賞作家であるが、自衛隊入隊や一時期企業舎弟をしていた等、ユニークな経歴の持ち主である。「小説の大衆食堂」を自称しており、作風は広く、極道小説、時代小説、中国歴史小説、現代小説など多岐に渡っているが、エッセイストとしても多数の作品を上梓している。本書は、JAL機内誌「スカイワード」に連載したエッセイ「つばさよつばさ」を単行本化したシリーズの第四…

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満州馬賊の義侠心

 浅田次郎の「天子蒙塵 第二巻」を読了した。著者は直木賞作家であるが、自衛隊入隊や一時期企業舎弟をしていた等、ユニークな経歴の持ち主である。作風は広く、極道小説、時代小説、中国歴史小説、現代小説など多岐に渡っており、「小説の大衆食堂」を自称している。本書は、「蒼穹の昴」、「珍妃の井戸」、「中原の虹」、「マンチュリアン・リポート」に続く、著者の中国歴史小説シリーズの第五作である。本巻では主として、…

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史上最も高貴で困難な離婚劇

 浅田次郎の「天子蒙塵 第一巻」を読了した。著者は直木賞作家であるが、自衛隊入隊や一時期企業舎弟をしていた等、ユニークな経歴の持ち主である。作風は広く、極道小説、時代小説、中国歴史小説、現代小説など多岐に渡っており、「小説の大衆食堂」を自称している。本書は、「蒼穹の昴」、「珍妃の井戸」、「中原の虹」、「マンチュリアン・リポート」に続く、著者の中国歴史小説シリーズの第五作である。本書のタイトルにあ…

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浅田次郎の「ライムライト―天切り松 闇がたり〈第5巻〉」。

★3.5 シリーズ5作目。9年ぶり(単行本は2014年、文庫は2016年出版)の続編である。 6つの連作。物語の時代はあちこちへ飛ぶ。松蔵19歳の話だったり、黄不動の栄治が退院した後の話だったりと。 「ライムライト」はチャップリンが来日した昭和7年の物語。5月15日にチャップリンは首相官邸で犬養毅との会食に招待されていた。 軍部が騒ぐ不穏な世情、百面相の常に替え玉の依頼が来た。松蔵は秘書の…

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浅田次郎の短編集「お腹召しませ」。

★3.5 6つの短編集。武家社会の慣習に抗う者たちの物語。 「お腹」は公金を横領し出奔した婿のため、腹を切って家を守るところを。 「大手」は勤務中の百人組が如何にして抜け出したか。 「安芸守」は浅野家に課せられていた斜籠という役目の不思議。 「女敵討」は国許の妻の現場を押さえた夫のとった行動。 「江戸残念」は上野に向おうとする娘婿を引き留めるために己が。 「御鷹狩」は妾の子として扱わ…

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雪ときどき読書

試験が終わり一息ついて、少し読書をしてみました。 2冊とも良質(私の感触)の短編アンソロジーです。 特に気に入ったのは、 ①13人の作家による『短編工場』の中の『陽だまりの詩』(乙一)『金鵄の もとに』(浅田次郎) ②スピルバーグの『アメージング・ストーリー』(短編集)の中の『1985年のサンタクロース』 走らずにじっくりと読む良質の短編は、読後の余韻が楽しめますね。 次に読んでいるのが…