元慶の乱の勝者
高橋克彦の「水壁-アテルイを継ぐ男-」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説を始め伝奇小説、時代小説等を手広く手掛けている。本書は、元慶の乱をモチーフとし、蝦夷の英雄アテルイの子孫の若者の活躍を描いた歴史物語である。 物語は元慶元年(877年)秋に始まる。その頃、日本全国で飢饉が発生したため、東北地方の大和朝廷支配地である陸奥、出羽で苛政に喘いでいた朝廷に帰属した蝦夷の俘囚に山野に逃亡する…
高橋克彦の「水壁-アテルイを継ぐ男-」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説を始め伝奇小説、時代小説等を手広く手掛けている。本書は、元慶の乱をモチーフとし、蝦夷の英雄アテルイの子孫の若者の活躍を描いた歴史物語である。 物語は元慶元年(877年)秋に始まる。その頃、日本全国で飢饉が発生したため、東北地方の大和朝廷支配地である陸奥、出羽で苛政に喘いでいた朝廷に帰属した蝦夷の俘囚に山野に逃亡する…
高橋克彦の「火怨-北の燿星アテルイ-(上、下)」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説を始め伝奇小説、時代小説等を手広く手掛けている。本書は、朝廷の陸奥支配に抗して戦った、蝦夷の英雄アテルイ( 阿弖流為)の活躍を描いた歴史物語である。本書では、蝦夷を支援する東北物部氏の跡継ぎ天鈴の言葉として、蝦夷は出雲の大国主命の子孫であり、元々出雲の斐伊川流域が本拠地であったが、大和朝廷との争いに敗れて東…
高橋克彦の「石の記憶」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説を始め伝奇小説、時代小説等を手広く手掛けている。本書は、十和田湖の近くに埋もれていた巨大ストーンサークルの秘密に挑んだ表題作の短篇に、8篇のホラー掌篇をプラスした短編集である。 「石の記憶」:語り手の「私」は、大昔土地の記憶を覚知し、しかもそのイメージを他人に見せることの出来る能力を持つ火明継比古とともに、秋田県鹿角市にあるストーン…
高橋克彦の「ジャーニー・ボーイ」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー出身であるが、伝奇小説、時代小説、ホラー小説、浮世絵評論とレパートリーが広く、最近は時代小説を手掛けることが多い。本書は、1878年(明治11年)来日したイギリス人の女性旅行家・紀行作家のイザベラ・バードの「日本奥地紀行」の旅をモチーフとしたフィクションである。 本書の主人公はイザベラの通訳として北海道まで同行する伊藤鶴…
高橋克彦の「かげゑ歌麿」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説を始め伝奇小説、時代小説等を手広く扱っている。本書は、「だましゑ」シリーズの第6作であり、全3編の連作中編集である。本書の主人公は喜多川歌麿であるが、脇役の春朗(後の葛飾北斎)、蘭陽始め、お馴染の仙波一家が総登場である。 さやゑ歌麿:本所吾妻橋の近くで、深夜、近所で起こった呉服屋の外回り定吉の殺人事件を捜査中の北町奉行所の定廻り同…
高橋克彦の「ツリー(上、下)」を読了した。著者は直木賞作家で、推理小説でデビューしたが、伝奇小説、時代小説、ホラー小説、浮世絵評論とレパートリーが広く、私の好きな作家の一人である。最近は、「だましゑ」シリーズや「完四郎広目手控」シリーズ等、時代小説を手掛けることが多いが、本書は、著者久々の伝奇小説である。 書評家の私は、友人で編集者の田中から、田中の会社の小説の新人賞に応募してきた風森大樹とい…
高橋克彦の「完四郎広目手控 不惑剣」を読了した。本書は、旗本の次男で剣の達人であったが武士を捨て、広目屋(瓦版屋、新聞屋、広告宣伝業)になった香冶完四郎を主人公とした時代小説シリーズの第五作で、11篇からなる連作短編集である。 物語の舞台は、西南戦争前夜の不穏な時代である。舟遊びをしていた完四郎は、正体不明の暴漢達に襲われる。相手はどうも警視庁巡査らしく、警視庁の剣術師範の声が掛っていた完四郎…