「貴志祐介」の日記一覧

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遺された俳句の意味するもの

 貴志祐介の「梅雨物語」を読了した。著者はホラー、ミステリー、SFをテリトリーとする作家であり、1996年に「ISOLA」でに日本ホラー小説大賞第3回長編賞佳作を受賞し、同作を改題した「十三番目の人格ISOLA」で、作家デビューしている。本書は、ノンジャンルのホラーの中編集である。  「皐月闇」:梅雨の日の夕方、作田慮男の家を若い女性が訪れる。還暦を過ぎた作田は認知症を発病しているが、その女性…

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闇バージョンのこっくりさん

 貴志祐介の「秋雨物語」を読了した。著者はホラー、ミステリー、SFをテリトリーとする作家であり、1996年に「ISOLA」でに日本ホラー小説大賞第3回長編賞佳作を受賞し、同作を改題した「十三番目の人格ISOLA」で、作家デビューしている。本書は、ノンジャンルのホラーの短編集である。  「餓鬼の田」:社員旅行で立山黒部アルペンルートの弥陀ヶ原に泊まって宴会をした翌早朝、喉が渇いて目が覚めた谷口美…

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著者別インデックス:国内(貴志祐介)

1.悪の教典 (2010.07)   https://smcb.jp/diaries/3972929 2.鍵のかかった部屋 (2011.07)   https://smcb.jp/diaries/4341490 3.ミステリークロック (2017.10)   https://smcb.jp/diaries/7561441 4.罪人の選択 (2020.03)   https://sm…

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輪廻転生の行きつく先

 貴志祐介の「我々は、みな孤独である」を読了した。著者はホラー、ミステリー、SFをテリトリーとする作家である。本書は、前世において自分を殺した殺人犯を探して欲しいとの奇妙な依頼を受けた探偵を描いた、輪廻転生をテーマとしたミステリーである。  探偵の茶畑徹朗は、彼の最も重要なクライアントである栄エンジニアリング会長の正木栄之助から、「前世で自分を殺した犯人を捜して欲しい」という、不可思議な依頼を受…

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テトロドトキシンとボツリヌストキシン

 貴志祐介の「罪人の選択」を読了した。著者はホラー、ミステリー、SFをテリトリーとする作家である。本書は、SFや本格ミステリー等、異なったジャンルの短編全4編を収録した短編集である。  「夜の記憶」:暗黒の海の中で目覚めた水生生物の「彼」は「町」を目指すが、町は海底火山の爆発の危機を迎えていた。彼は一度死んでおり、何者かに記憶を入れ替えられたため、時折見知らぬ惑星の風景が記憶の底から上ってくる。…

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31気圧の海底で

 貴志祐介の「ミステリークロック」を読了した。著者はホラー、ミステリーをテリトリーとする作家である。本書は、「防犯探偵・榎本」シリーズの第四作で、本職泥棒にして防犯探偵でもある榎本径と美人弁護士の青砥純子が、難解な密室のトリックに挑む中・短編集である。  「ゆるやかな自殺」:関東侠気会系塗師組の野々垣二郎は、若頭の岡崎政嗣を、拳銃自殺を装って謀殺したが、念のために、岡崎の死体を発見した組員の八田…

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鍵のかかっていない密室

貴志祐介の「鍵のかかった部屋」を読了した。本書は、本職泥棒にして防犯探偵でもある榎本径と美人弁護士の青砥純子が、難解な密室のトリックに挑む4篇からなる短編集で、シリーズ第3作とのことである。  佇む男:司法書士の日下部は、顧客の葬儀会社社長大石と連絡が取れないため、専務の池端と大石の山荘に向かい、モルヒネ注射により死亡したと見られる大石の遺体を発見する。遺体は、ドアを覆って張られた白幕とガラステ…

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死体の隠し方

貴志祐介の「悪の教典」上下二巻を読了した。本書は、一昨年の日本の二大有名ミステリー・コンテストで首位を獲得したもので、人気が高く、借り出すのに10カ月近くかかった。本書は、若くて有能な好青年の高校教師と思われた主人公蓮見聖司が、実はサイコパスであり、ある事件をきっかけに、担任クラスの皆殺しという大量殺人を犯すに至る経緯を描いたホラー小説である。  蓮見は、有能なカリスマ教師として、同僚の教師や生…