2023年06月19日(月)15:56 会員以外にも公開 植松自由人 第19番目『旅のつばくろ』(沢木耕太郎著)は、著者の16歳のときの東北一周旅行、夜行列車を宿に、12日間の「大旅行」を踏まえた、日本国内の旅の話を書く 皮膚が変わる 日本に帰ったら最初に似にを食べたいか、何をしたいか。 何をしたいかということになると、「温泉に行きたい」という。 災厄をもたらす自然が、恵みをもたらす自然ともなる。 絵馬の向こう側 絵馬の中に、 多くの外国語のものが混ざっている。 絵馬に願い事を書いて吊るすというところまでやる観光客だったのだ。 絵馬に書かれたその願い事。 彼等の視線は明らかに世界や異国に向けられていた…
2020年12月28日(月)14:42 会員以外にも公開 植松自由人 161、『深夜特急6-南ヨーロッパ・ロンドン』(沢木耕太郎著)は、<ワレ到着セズ>と。 『深夜特急6-南ヨーロッパ・ロンドン』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年6月1日発行 ーこの『深夜特急』は、この、6冊目で発行されているのは終わりです。面白い紀行文だったと思いました。ただ、このノンフィクション作家は、博奕に興味を持っていて、その場面を描いた叙述は面白く興味を惹かれましたが、僕は博奕は、やったこともないし、したくもないので、そればかりだと嫌になります。それ以外はこの作家のエッセイ…
2020年12月26日(土)12:57 会員以外にも公開 植松自由人 160、『深夜特急5ートルコ・ギリシャ・地中海』(沢木耕太郎著)安い、とかタダだ、というのが「深夜特急」のキーワード。 『深夜特急5-トルコ・ギリシャ・地中海ー』沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年6月1日発行 ー「エルズルム?」 誰かが首を振り、別の誰かが指差してくれる。そこでまた私は教えられた方向へ走り出す。ようやくエルズルム行きのバスに辿り着いた。間一髪だった。荷物係が運転手の脇の席に腰を下ろし、まさにドアが閉められようとする寸前だったからだ。 運転手と荷物係はまた顔を見合わせ、ふたこと、みこと相談し、10…
2020年12月23日(水)18:20 会員以外にも公開 植松自由人 159、『深夜特急4-シルクロード』(沢木耕太郎著)老いてもなお旅という長いトンネルを抜け切れない自分の姿を、モスクの中を吹き抜ける蒼味を帯びたペルシャの風の中に見たような気がした、と 『深夜特急4-シルクロードー』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年4月25日発行 ー今こうしてデリーを出発してロンドンへ向かうことができるということが、とても不思議なことのように思えてくる。 再び長い眠りから覚めると体は一段と楽になっていた。起きて、食事に行き、帰って、彼に薬を貰い、飲む。それを4回繰り返すと、熱も頭痛も綺麗さっぱりと消えた。インドの病気は確かにインドの薬でしか治らないのかもしれ…
2020年12月21日(月)13:33 会員以外にも公開 植松自由人 159、『深夜特急3-インド・ネパール』(沢木耕太郎著)は、「あんなに過酷な旅をしたんだから、この東京なら、どんなことをしても生きていける」と 『深夜特急3-インド・ネパールー』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年4月25日発行 ーカルカッタは、特に何があるという街ではなかったが、いくら歩いても飽きそうになかった。 カルカッタには、いま生きている人間に関わるものならすべてあった。 まだ7、8歳にしかならない少女が、僅か3ルピーの金で体を売ろうとしている。しかし、彼女がそのような申し出をするからには、どこかに必ず買う男がいるのだろう。 …
2020年12月15日(火)10:34 会員以外にも公開 植松自由人 155、『深夜特急2マレー半島・シンガポール』(沢木耕太郎著)は香港の幻影ばかり追い求めていた 『深夜特急2-マレー半島・シンガポールー』沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年2月25日発行 ー『深夜特急1』を読んで、次に、『深夜特急2』を読むことができた。やはり、著者の人柄に惹かれて読みたくなった。それに、購入も容易にできたりした。 ーやがてバスが来て、彼の後について乗り込むと、当然のことのように2人分を払ってくれた。彼には、あの金はバス代のために交換したということがわかっていなかったのだろ…
2020年12月08日(火)12:02 会員以外にも公開 植松自由人 151、『深夜特急1-香港・マカオ』(沢木耕太郎著)は外国旅行を描く 『深夜特急1-香港・マカオ』 沢木耕太郎著 新潮文庫 平成6年3月25日発行 ーこの本は、沢木耕太郎という僕の知らない作家で1947年生まれという人の話を「ラジオ深夜便」の「明日へのことば」で聴いて、この作家の得意とする旅の小説を読んでみようと、ブックオフで探して、この本を選び読了したのである。この作家に興味を持ったのは、話が面白かったことと、年齢が僕と同世代であることである。そういえば、僕と同…