連載:読書感想文

159、『深夜特急3-インド・ネパール』(沢木耕太郎著)は、「あんなに過酷な旅をしたんだから、この東京なら、どんなことをしても生きていける」と

『深夜特急3-インド・ネパールー』 沢木耕太郎著
新潮文庫 平成6年4月25日発行
ーカルカッタは、特に何があるという街ではなかったが、いくら歩いても飽きそうになかった。
 カルカッタには、いま生きている人間に関わるものならすべてあった。
 まだ7、8歳にしかならない少女が、僅か3ルピーの金で体を売ろうとしている。しかし、彼女がそのような申し出をするからには、どこかに必ず買う男がいるのだろう。
 その顔を見つめているうちに、名づけようもない感情が喉元まで溢れてきた。多分、この少女は、香港のアバデイーンで会った陳美華と大して違わない年齢だろう。あの時の陳美