ろうかんをくだく白波石蕗の崖 　石原八束 　断層の浜に石蕗乱れ咲く　アロマ 　ところ得し石の静けさ石蕗の花　 中川いさを 　ふるさとと同じ石蕗咲き天草よ　 鈴木真砂女 　今すがれゆくもの惜み石蕗の花 　稲畑汀子 　葉は茶色黄の石蕗の眩しくて　　アロマ 　薄の穂石蕗の黄と冬隣り合ふ 　石原舟月 　黄八丈色に石蕗咲き妻が着て 　草間時彦 　…

　けふの晴れ狭庭はすでに石蕗のもの　 及川貞 榧の實 　ありたけのひかりあつめて石蕗黄なり 　細木芒角星 　断層の浜黄の石蕗真っ盛り　　アロマ 　ことしもここに石蕗の花も私も 　山頭火 　母傘寿石蕗の里山を行く　　アロマ 　つはぶきの花の日々新たなり 　高野素十 　ふるさとと同じ石蕗咲き天草よ 　鈴木真砂女 夕螢 　一隅を一切とせり石蕗の花 　和…

　　　「アロマ」の句 　断層の浜にて燥ぐ母傘寿 　やや傾ぐブルーグレーの断層よ 　メジロ来て桜の花に蜜を吸う 　能登の初夏アリウム咲いて濃紫 　笠山に宿取る春の親子旅 　室生寺に石楠花咲いて夢幻境 　千里浜の沖に藍雲垂れ込めて 　能登の宿レモンハイすっきり美味なりし 　能登島の道は急坂くねりつつ 　岩風呂の露天に花びら一二片 　鶯の囀り愛らし今朝殊に 　帰省して九日…

　うす月の見えてありしが石蕗の雨　 鈴木花蓑 　 　ことしもここに石蕗の花も私も　 山頭火 　断層の浜に石蕗咲き乱れ　アロマ 　つはぶきの黄の残りたる夕景色 　吉屋信子 　どこへでも行ける明るさ石蕗の花　 鎌倉佐弓 潤 　みまはして石蕗の黄のさてにぎやかや 　久保田万太郎 流寓抄 　石蕗の葉闌れ花は黄に染まる　アロマ 　ふるさとと同じ石蕗咲き天草よ　 鈴木真砂女 夕螢 　古九谷…

　　　「アロマ」の句 　空港のロビーに黄の菊香る 　禅寺の紅葉去年よりは闌れて 　石蕗の黄の色鮮やか禅寺に 　料亭に郷土の味覚河豚刺しを 　断層の浜に石蕗満開よ 　島の間に満月上がり晩餐を 　蒼い海に灰白色の断層が 　やや傾ぐ断層ブルーグレーの縞をなす 　萩の宿笠山中腹眺め良し 　野葡萄の塀に懸かりて瑠璃の珠 　龍門の瀧を寺より眺め入る 　　　「三橋鷹女」の句 …

　日本海の波荒き日も枇杷ちぎり 　鈴鹿野風呂 浜木綿 　日本海の風くぐり抜け稲雀 　北條美谷子 　日本海の風の味滲む乾び鮭 　藤澤 正 　日本海の夕焼に土平らかなり　 長谷川かな女 雨 月 　日本海へぎりぎりまでの山を焼く　 能村登四郎 　日本海へすこし傾き田水張る　 能村研三 騎士 　日本海へ巌の仙人掌花弾き 　奥村直女 　日本海まで仰向けに雛流る 　品川鈴子 　日本海みたき…