「西條奈加」の日記一覧

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西條奈加の「大川契り 善人長屋3」。

★3.3シリーズ3作目。 18歳のお縫の家は千鳥屋という質屋、深川仙台堀の北、浄心寺の東にある山本町にある。 父親の儀右衛門は善人長屋の差配を務めているのだが、その住人は・・・。 今回は日本橋本町の茶問屋・玉木屋に養子に入った兄・倫之助(5歳上)や、本所新井町のお花長屋の漆喰職人に嫁いでいる姉の佳代(10歳上)にまつわる事件も登場する。 書下ろしの「鴛鴦の櫛」と「大川契り」は表紙にあるよ…

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西條奈加の「ごんたくれ」。

★3.7 2013年1月、特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」で曽我蕭白の「雲龍図」を見たときにはぶったまげた。同時に展示されていた長谷川等伯の「龍虎図屏風」が霞んでしまうほど。 その前年2012年の夏には特別展「美のワンダーランド 十五人の京絵師」が開催された。 与謝蕪村、池大雅、伊藤若冲、曾我蕭白、円山応挙、呉春、長沢芦雪ほかの作品が紹介され、若冲の鶏の迫力、芦雪の子犬の愛くるしさが…

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西條奈加の「睦月童(むつきわらし)」。

★3.2  日本橋の酒問屋の若旦那・央介と、そこにやってきたイオという娘のホラーファンタジーと思ったのだが・・・。 イオには咎を犯した者が見ると目が赤く光るという不思議な能力があった。陸奥の国の山奥に睦月神の里があるという。 イオのように、その神から遣わされた娘にはそれぞれ別の能力が備わっており、未来を予知する者もいる。 後半は、・央介とイオが睦月神の里に向う展開となる。睦月神の正体は、そ…

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西條奈加の「六花落々(りっかふるふる)」。

★3.5  六花とは雪のこと。下総古河藩8万石の藩主・土井利位に御学問相手として仕えた小松尚七の目を通して時代「文化10年(1813年)〜天保8年(1837年)」を語らせる。 何にでも疑問を持ち「何故なに尚七」と渾名されていた下級藩士の尚七は鷹見忠常によって抜擢される。 土井利位は「雪華図説」を出版したほか、「大塩平八郎の乱」を大坂城代として鎮圧。鷹見忠常は親交のあった画家・渡辺崋山による「…

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西條奈加、中島要他の「江戸猫ばなし」。

★3.3  中島要、赤川次郎、稲葉稔、小松エメル、西條奈加、佐々木裕一、高橋由太の7人の作家による、猫をテーマとした短編集。 全体的にほっこりした物語が多くて、それはそれでいいのだが、やはり、「江戸、猫」とくれば、「耳袋」にあるような怪しい話を期待してしまう。そういう意味では西條奈加の「猫の傀儡」が面白かった。 今回は猫又(尾が二つに分かれた化け猫)は登場するが、人語をしゃべる猫は出てこない…

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西條奈加 の「まるまるの毬 」。

★3.3 麹町の菓子屋・南星屋治兵衛は500石の旗本岡本家の次男として生まれ、幼名を小平冶といった。全国を修業して廻り、江戸で各地の有名な菓子を作って商っている。 治兵衛は女房を病で亡くし、一人娘のお永も左官職人に嫁いでいたのだが、夫の女遊びがもとで、娘のお君を連れて、治兵衛のもとへ帰ってきている。お君は16歳。 菓子屋だけに次々と出てくる菓子を拾ってみると、 武蔵熊谷の五嘉棒、伊予松山の桜…