「秋吉理香子」の日記一覧

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ミスコンファイナリスト達のバトルロワイアル

 秋吉理香子の「殺める女神の島」を読了した。著者はミステリー作家で、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、ビューティキャンプのためにインド洋に浮かぶリゾートアイランドに集められた、七人のミスコン最終候補者達が見舞われた連続殺人事件を描いたミステリーである。なお、本書の視点人物はミステリー作家の美咲である。  物語はビューティーコンテス…

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無人島に行くとしたら持っていく物

 秋吉理香子の「無人島ロワイヤル」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、他愛のない会話を切っ掛けに、無人島でバトルロワイヤルを繰り広げざるを得なくなったバーの常連客達の姿を描いたサスペンスである。  本書でバトルロワイヤルを繰り広げるのは、バー「アイランド」の常連客の以下の八名である。大村修一…

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大阪文学散歩

 秋吉理香子の「月夜行路」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、夫や子供に疎外され、孤独感を深めた専業主婦が、思い出の元カレを探すために、ゲイバーのママと向かった大阪で遭遇した様々な事件を描いたミステリーである。  序章「暗夜行路」:元バレーボールの選手で、高校から実業団迄活躍した沢辻涼子は現…

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余命を知った人々

 秋吉理香子の「終活中毒」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、終活を巡る人々の悲喜交々を描いた、少しほろ苦い「終活」ミステリーである。  「SDGsな終活」:語り手の「僕」は妻の真美子から恭ちゃんと呼ばれている。僕の本業は余命僅かな女性と結婚し、看取り、その遺産を相続することである。ターゲッ…

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地下室での暗闘

 秋吉理香子の「監禁」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、看護師にストーキング行為を繰り返していた男が、その看護師の夫を拉致して殺害しようとする姿を描いたサイコサスペンスである。なお、本書では、病院のパートと監禁のパートが交互に描かれている。  看護師の三田由紀恵は、医療従事者の夫と幼い娘の舞…

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理想の夫のもう一つの顔

 秋吉理香子の「哀愁しんでれら-もう一人のシンデレラ-」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、2021年2月に公開された、渡部亮平監督、脚本、土屋太鳳主演の映画「哀愁しんでれら」を原案とした小説であり、ささやかな幸せを求めた一人の女性が巻き込まれた狂気の世界が描かれている。  本書の物語の主人公…

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息子のボーイフレンド

 秋吉理香子の「息子のボーイフレンド」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、高校二年生の息子のゲイだとのカミングアウトに始まる、ドタバタ騒動を描いたホームコメディである。  四十歳で専業主婦の杉山莉緒は、高校二年生の息子の聖将から、彼がゲイだとのカミングアウトを受けてショックを受ける。彼女は高校…

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悪の精カラボスの正体

 秋吉理香子の「眠れる美女」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、2017年10月に刊行された「ジゼル」の続編で、旗揚げ公演を前にした東京スペリオール・バレエ団で起こった連続殺人事件を描いたバレエ・ミステリーである。  前作の「ジゼル」事件で主力メンバーを失った東京グランド・バレエ団は、東京スペ…

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著者別インデックス:国内(秋吉理香子)

1.雪の花 (2009.09)   https://smcb.jp/diaries/7822297 2.暗黒女子 (2013.06)   https://smcb.jp/diaries/7614530 3.放課後に死者は戻る (2014.11)   https://smcb.jp/diaries/7700575 4.聖母 (2015.09)   https://smcb.jp/diaries/6…

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顔と身分を変えて

 秋吉理香子の「灼熱」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、復讐のために顔を整形して夫の仇と結婚し、殺人の証拠を探そうとする女性の葛藤を描いたミステリーである。  中年の訪問医の久保河内英雄は妻の絵里にベタ惚れであり、二人は一見甘い新婚生活を送っていたが、絵里には夫に隠している秘密があった。絵里…

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高次脳機能障害者による殺人

 秋吉理香子の「ガラスの殺意」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、殺人事件の容疑者として、高次脳機能障害にかかった女性が逮捕された事件を描いたミステリーである。  柏原麻由子が病院で目覚めると、そこには神奈川県警森ケ崎署の刑事の桐谷優香と野村淳二がいた。麻由子は自分が高校三年生だと思っていたが…

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ロココ調の鏡

 秋吉理香子の「鏡じかけの夢」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、願いを叶えると噂される一枚の鏡を巡る、少しホラー風味の幻想小説五編の連作短編集である。  物語の舞台は、戦前から終戦直後の日本とイタリアである。物語の中心になるのは、ヴェネツィアから流れ着いたと言われる、全身が映るほどの大きさで木枠の一枚のロココ調の鏡である。その鏡には、願い事を強く念じながらその鏡を磨くと、その願いが…

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バブルの残照

 秋吉理香子の「雪の花」を読了した。著者はミステリー作家であり、2008年、「雪の花」で第3回Yahoo! JAPAN文学賞を受賞して作家デビューしている。本書は、受賞作品を含む四篇からなる短編集である。  「女神の微笑」:わたしは、離婚した妻の元に引き取られた娘の撫子との久しぶりの面会で、大阪の新今宮に家族の思い出の遊園地フェスティバルゲートを訪れるが、遊園地は何と閉園していた。バブルがはじけ…

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美男子の正体

 秋吉理香子の「放課後に死者は戻る」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、殺人事件に巻き込まれたために、他人と人格が入れ替わった高校生が真犯人を探す、「人格転移」系のミステリーである。  二学期が始まって二か月近くが経ったある日、鳴尾東高校2年A組に男の転入生が入って来る。彼の名は高橋真治で、母親は日本人、父親はイギリス人というハーフで、日本人離れした堀の深い顔、大きな二重の目、筋の通…

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理系女の深謀遠慮

 秋吉理香子の「婚活中毒」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、婚活を巡る男女の騒動を描いた「婚活」ミステリーである。  「理想の男」:アラフォーの沙織はリストラされた上、付き合っていた男にも逃げられて実家に帰る。心機一転、地元の小さな結婚相談書に登録した沙織は、杉下圭司という理想的な男性を紹介される。一目で杉下を気に入った沙織は、彼がその相談所で三年間に三人の女性を紹介されたが、いず…

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封印を解かれた名作

 秋吉理香子の「ジゼル」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、「ジゼル」の主役を巡るバレエ団内での愛憎、嫉妬と、連続して起こった不可解な死を描いたサスペンス小説である。  本書の主人公の如月花音は、東京グランド・バレエ団に所属する19歳の団員である。花音は同期入団で仲の良い斎藤絢子、園村有紀子および太刀掛蘭丸と一緒に行動することが多いので、四人は周囲から「仲良しカルテット」と呼ばれてい…

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闇鍋の結末

 秋吉理香子の「暗黒女子」を読了した。著者は、Yahoo!JAPAN文学賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、カリスマ性溢れる女子高生の死を巡り、彼女の友人達が互いを犯人だと告発しあう姿を描いた異色のミステリーである。  ミッション系の女子高である聖母女子高等学院の経営者の娘で同学院の三年生だった白石いつみが、ある日、スズランの花を持ち、校舎のテラスから果断に転落して亡くなってい…

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キャプテン・ディテクティブ登場

 秋吉理香子の「機長、事件です!-空飛ぶ探偵の謎解きフライト-」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、名探偵役が国際線のパイロットであるという、珍しいトラベルミステリーである。  ニッポン・エアラインのパイロット間宮治郎は、訓練が終了し、成田発シャルル・ド・ゴール着二〇五便のフライトで、国際線のコーパイ(副操縦士)としてデビューすることになる。同乗するPIC(第一機長)は、間宮の知らな…

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雪の孤島で

 秋吉理香子の「サイレンス」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、結婚の挨拶のため、婚約者を連れて故郷の孤島に帰省した女性を襲う恐怖を描いたミステリーである。  主人公の深雪の故郷は、新潟港からフェリーで約2時間の所にある、人口300人足らずでコンビニも信号機もない、孤島の雪乃島である。深雪は島一番の美少女であり、かつてアイドル志望で、中学二年生の時に受けたアイドルグループの追加メンバ…

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死者からの招待状

 秋吉理香子の「絶対正義」を読了した。著者はミステリー作家である。本書は、四人で殺した筈の友人から、その四人にパーティの招待状が届いたことから始まるサスペンスミステリーである。  ある日、四十路のノンフィクション作家の今村和樹の許に、小洒落た封筒が届くが、それは「思い出の会」への招待状だった。その招待状の差出人の名前を見た正樹は、蒼白になる。差出人の高規範子は、5年前に、和樹が親友の由美子、理穂…