「ハーディング」の日記一覧

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呪い人と呪われた者

 フランシス・ハーディングの「呪いを解く者」を読了した。著者は英国在住のファンタジー作家である。本書は、糸をほどく様に呪いをほどくことのできる十五歳のほどき屋の少年と、彼に呪いをほどいて貰った少女の二人が巻き込まれた陰謀を描いた、ミステリー風味の冒険ファンタジーである。  物語はラディスという架空の国であり、大商人達による政務庁と呼ばれる政府が統治している。ラディスと海岸の間には、原野(ワイル…

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蟻の巣の様な地下都市

 フランシス・ハーディングの「ガラスの顔」を読了した。著者は英国在住のファンタジー作家である。本書は、生まれつき表情をもたず、面(おも)と呼ばれるつくられた表情をまとう人々が暮らす地下世界で、都市全体を揺るがす陰謀に巻き込まれた少女の奮闘を描いた、ミステリー風味の冒険ファンタジーである。  物語の舞台は、迷路のように入り組んだ、架空の地下都市カヴェルナであるが、その都市に住む人々は生まれつき表情…

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頭の中は幽霊でいっぱい

 フランシス・ハーディングの「影を呑んだ少女」を読了した。著者は英国在住のファンタジー作家であり、本書で英国幻想文学大賞を受賞している。本書は、十七世紀のピューリタン革命前夜のイングランドを舞台とし、霊を自在に操ることによりイギリスを裏から支配しようとする、古い一族に対抗する少女の活躍を描いた、エスピオナージ風ファンタジーである。  本書の主人公のメイクピースには父親はなく、貧しい母親のマーガレ…

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腹ペコの取り替えっ子

 フランシス・ハーディングの「カッコーの歌」を読了した。著者は英国在住のファンタジー作家であり、本書で英国幻想文学大賞を受賞している。本書は、第一次世界大戦後のイギリスを舞台とし、とある事故で記憶を失った少女が、摩訶不思議なアイデンティティをを取り戻すために奮闘する姿を描いた、ミステリー風ファンタジーである。  本書の舞台は、1920年のイギリスの地方都市エルチェスターである。11歳の主人公のト…

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嘘を栄養に育つ木

 フランシス・ハーディングの「嘘の木」を読了した。著者は英国在住の作家であり、本書でコスタ賞(旧ウィットブレッド賞)児童文学部門賞、同大賞を受賞している。本書は、不正を疑われる中で亡くなった父親の死の謎を探る少女の奮闘を描いたミステリー風ファンタジーである。  物語の舞台は、ダーウィンの「進化論」に世間が驚愕した19世紀半ばのイギリスで、主人公は父親の影響から博物学が好きな14歳の少女のフェイス…