頭の中は幽霊でいっぱい

 フランシス・ハーディングの「影を呑んだ少女」を読了した。著者は英国在住のファンタジー作家であり、本書で英国幻想文学大賞を受賞している。本書は、十七世紀のピューリタン革命前夜のイングランドを舞台とし、霊を自在に操ることによりイギリスを裏から支配しようとする、古い一族に対抗する少女の活躍を描いた、エスピオナージ風ファンタジーである。
 本書の主人公のメイクピースには父親はなく、貧しい母親のマーガレット・ライトフットの手により育てられるが、まだ幼い時から、彼女は母親から奇妙な教育を受けていた。その教育とは、墓場で深夜を過ごし、彼女に憑りつこうとする霊達を撃退