ぽつぺんを吹いて浮世絵いろの空 中尾杏子 墨絵の鳥獣戯画に酔い痴れて アロマ ゆく夏の風がめくれる童画集 古賀まり子 ゆづり葉や蔵にねむれる絵巻物 鍵和田[ゆう]子 浮標 れんこんの俳画懸け暑を煙に巻く 高澤良一 寒暑 羽子板市錦絵好みの顔廃れ 平松荻雨 鵜飼見る紅惨のこの絵巻物 鷹羽狩行 駅枯れて壁に童画の赤多し 飴山實 『おりいぶ』 夏木立絵…
満月の紅き球体出で来る 誓子 満月の蔭の渚の濡れそぼつ 岸田稚魚 筍流し 満月の重力を着て老いてゆく 荒木洋子 満月の野の翳となる忘れ鍬 小出秋光 満月の鏡を運び写さるる 小檜山繁子 満月の闇分ちあふ椎と樫 永方裕子 満月の鳥獣戯画や入りつ出でつ 加藤秋邨 まぼろしの鹿 満月は山越阿弥陀かも知れぬ 平井照敏 天上大風 満月は沖を離る…