薩摩よみうり文芸 5月3日 俳句 大川畑光詳 選 生涯を詩魂一筋河鹿鳴く 薩摩川内 千草 好江 (評)季語は「河鹿)で夏。河鹿は山間の渓流に棲み、美しい声で鳴く。四肢の先に吸盤があり、岩に吸い付き早瀬に流されることはない。揚句は当欄の選者であった渕脇護氏への挨拶句である。清亮な声とたくましい生態を併せ持つ河鹿はまさに「詩魂一筋」に歩んでこられた渕脇氏の俳風でもある。私も渕…
六月(河鹿鳴く) 出水野の農面道路夏の雲 古里の鐘と太鼓や夏祭り この町の観光ガイドアロハシャツ 噴く山の枇杷の実選りし道の駅 とどめなく火山灰(よな)降る日なり蝸牛 菜園は己の楽園河鹿鳴く 落とし文一枚拾ふ一少女 ときめきは荒れ地の中にねじれ花 父祖の地の水の匂ひや岩清水 家業とて変わりゆくもの七変化