さんが書いた連載薩摩よみうり俳句の日記一覧

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薩摩よみうり俳句5.18(火)

5月18日 薩摩よみうり文芸   俳句 淵脇 護 選 烏賊を干す浜や鴎の数しれず     霧島 内村としお (評)季語は烏賊で夏。「烏賊干す」は厳密には秋なので注意。去る5月は立夏で、それらしい暑い日が到来した。この句、「句跨り」という手法を用い、浜の烏賊干し場の風景を見事に活写。俳句は事実を述べて、読者に映像の復元を図らねばならね。この句はその域に達した秀句。 田螺(たにし)鳴く檜山杉山五…

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3月9日(火)薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり文芸 3月9日    俳句 淵脇 護 選 時といふ薬の効き目土匂ふ    薩摩川内 谷口千枝子    (評)筆者が挫折した時、恩師が「時が全てを解決する」 ち言って励ましてくださった事を思い出し、この作者も難題か難問を抱えて呻吟した経験があったのではと察せられた。しかし時間が経っていい方向に展開したようだ。下五の「土匂ふ」という春の季語がそれを物語っている。 強東風や天の逆鉾揺る…

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薩摩よみうり俳句3月2日(火)

薩摩よみうり文芸 3月2日 薩摩よみうり文芸 3月2日    俳句 淵脇 護 選 落ち椿ころがる風を追いかける   鹿児島 福寿美智子 (評)「落ち椿」が季語で春。2月・3月ごろ、公園や垣根を彩るのが椿。椿の落下は花びらが散るのではなく、一花まとまってポトリと落ちるのが特徴。この句、椿が転がり落ちて風に吹きさらわれていく様を、言葉を上手に操ってひねりを効かせて詠んだ技巧派の句。表記は現代仮名遣…

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1月19日 読売俳壇

1月19日 読売俳壇   俳句 淵脇 護 選 餅間や大盛りパフエを注文す    薩摩川内 城戸 凛  (評)「餅間」は「もちあい」と呼んで新年の季語。    お正月の中でも餅がない中間期間。つまり1月8日    から13日くらいまでの期間を言う。正月料理で餅    を食べ飽きた時、大盛りパフエは美味しかったに違    いない。あまり詠まれないが、なかなか味のある季    語である。 一の宮松の上…

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21年1月5日(火)

1月5日(火)俳句 淵脇 護 選 大吉の妻のおみくじ年新た      霧島 尾上 春風 (評)謹賀新年!コロナ渦の中、ワクチン接種の希望が見える新しい年の幕開け。俳句は今日から新年という季語と向き合うことになる。作者の奥方のおみくじも大吉。ゆっくっりと丑年の歩みを踏み出しましょう。 偕老の日差しぬくみて初障子     霧島 秋野 三歩 リモートで繋ぐうからへ御慶かな 薩摩川内 石堂 絹子 虚飾な…

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20.4.12(火)薩摩よみうり文芸

4月14日(火)薩摩よみうり文芸  俳句 淵脇 護 選 城跡へ花のトンネル登りゆく     小郡・永田 良一  (評)一読して句意宣明。季語は花{桜花)で春。   見所は中七の「花のトンネル」という暗揄、道路き   から、満開の桜が枝を差しかわしている様が眼前に   浮かんで来る。しかも、下5も「抜けてゆく」では   なく、「坂を登る」と工夫したたころが良い。 花香る三途の河の最終便     …

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薩摩よみうり俳壇20.3.21

淵脇 護選 初産の男児誕生さくら咲く     霧島・中島恵美子   ※一読して、初産成功の安堵感と喜びがじかに伝   わってくる。下五の季語と、上五・中七の事象が見事に   衝撃された二句一章の俳句。平明で分かりやすく、   命の誕生という奥深い句に仕上がっているのが良い 川岸の小風をまとひ春の蝶     霧様・池田 章 好きな石探すせきれい日暮れたり  薩摩川内・石堂絹子 うらうらと舟に揺ら…

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薩摩よみうり俳壇20.3.14

読売俳壇 2020・3・14     淵脇 護 選 満作や降臨の地の天降川    霧島・尾上 春風  〈評〉「満作」は落葉大低木、山地に自生し早春真っ先に花開く。「降臨の地」とは「高千穂の峰を指し 雨降川は天孫降臨の地に流域を持つ実在の川。霧島山の黄色い満作の花と郷土賛歌の心が見事に合致した句。 噴く岳の水は豊かに野海棠   霧島・秋野 三歩 洛中のしとど朧に濡るる門   霧島・内村 敏雄 …

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薩摩よみうり俳壇20年2月

共鳴句 *かれて紙風船に生るる意思  霧島 神崎善史  弾かれて紙風船にあるる意思 *ぬふぐりほほ笑みおはす野の仏  鹿屋 藤ゆき子 涅槃図にもれたる猫と遊びをり