薩摩よみうり文芸 3月2日 薩摩よみうり文芸 3月2日 俳句 淵脇 護 選 落ち椿ころがる風を追いかける 鹿児島 福寿美智子 (評)「落ち椿」が季語で春。2月・3月ごろ、公園や垣根を彩るのが椿。椿の落下は花びらが散るのではなく、一花まとまってポトリと落ちるのが特徴。この句、椿が転がり落ちて風に吹きさらわれていく様を、言葉を上手に操ってひねりを効かせて詠んだ技巧派の句。表記は現代仮名遣…
1月19日 読売俳壇 俳句 淵脇 護 選 餅間や大盛りパフエを注文す 薩摩川内 城戸 凛 (評)「餅間」は「もちあい」と呼んで新年の季語。 お正月の中でも餅がない中間期間。つまり1月8日 から13日くらいまでの期間を言う。正月料理で餅 を食べ飽きた時、大盛りパフエは美味しかったに違 いない。あまり詠まれないが、なかなか味のある季 語である。 一の宮松の上…
1月5日(火)俳句 淵脇 護 選 大吉の妻のおみくじ年新た 霧島 尾上 春風 (評)謹賀新年!コロナ渦の中、ワクチン接種の希望が見える新しい年の幕開け。俳句は今日から新年という季語と向き合うことになる。作者の奥方のおみくじも大吉。ゆっくっりと丑年の歩みを踏み出しましょう。 偕老の日差しぬくみて初障子 霧島 秋野 三歩 リモートで繋ぐうからへ御慶かな 薩摩川内 石堂 絹子 虚飾な…
4月14日(火)薩摩よみうり文芸 俳句 淵脇 護 選 城跡へ花のトンネル登りゆく 小郡・永田 良一 (評)一読して句意宣明。季語は花{桜花)で春。 見所は中七の「花のトンネル」という暗揄、道路き から、満開の桜が枝を差しかわしている様が眼前に 浮かんで来る。しかも、下5も「抜けてゆく」では なく、「坂を登る」と工夫したたころが良い。 花香る三途の河の最終便 …
淵脇 護選 初産の男児誕生さくら咲く 霧島・中島恵美子 ※一読して、初産成功の安堵感と喜びがじかに伝 わってくる。下五の季語と、上五・中七の事象が見事に 衝撃された二句一章の俳句。平明で分かりやすく、 命の誕生という奥深い句に仕上がっているのが良い 川岸の小風をまとひ春の蝶 霧様・池田 章 好きな石探すせきれい日暮れたり 薩摩川内・石堂絹子 うらうらと舟に揺ら…
読売俳壇 2020・3・14 淵脇 護 選 満作や降臨の地の天降川 霧島・尾上 春風 〈評〉「満作」は落葉大低木、山地に自生し早春真っ先に花開く。「降臨の地」とは「高千穂の峰を指し 雨降川は天孫降臨の地に流域を持つ実在の川。霧島山の黄色い満作の花と郷土賛歌の心が見事に合致した句。 噴く岳の水は豊かに野海棠 霧島・秋野 三歩 洛中のしとど朧に濡るる門 霧島・内村 敏雄 …