さんが書いた連載花②の日記一覧

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「今朝も涼しい」53:9

今朝も涼しい。室温24:5度、湿度76%。昨日も涼しかった。一日中エアコンを点けなかった。日本列島全体がサウナ状態で35度が当たり前だったから、何だか狐につままれたようだ。 暑い中でも近所の庭に咲いているオニユリは涼やかだった。下を向き、クルンと丸まった姿は何とも可愛らしい。山に行くと出会う花だ。  久しぶりに家にいて土いじりが出来た。金魚のフィルターを買いにホームセンターに行った。 店の…

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「朝顔はこんな朝にふさわしい」

娘宅から帰宅すると仲良くしているご近所さんが花の水やりをしていた。ウチの花達にも水を撒いた跡がある。 「済みません、ありがとうございます」 「あら、水が届く処だけよ」 何でもないように言ってくれるが、途端に気持ちが軽くなる。 金魚の水が綺麗なままなのも嬉しい。少な目に餌をやる。 次は花の水やり。今年初めて上手くいったと喜んでいたキュウリが枯れている。小さなキュウリが幾つもぶら下がる。諦め…

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「好きな色じゃなかった」

雨戸を閉めようとした手が止まった。不思議な色だ。 好きな色じゃなかった。それが今美しい。夕方7時前。夏至の次の日。 スマホを取り出した。この色、出るだろうか。近付くと花びらに水滴が二粒付いている。昼間雨は降らなかったから、花の内部から出た雫だ。 普段見慣れている物が全く違って見える時がある。凝視したその先に見えて来る別の物。 朝の挨拶の後同僚が言った、 「ドアを開けて入って来た時、便臭…

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「花のある暮らし」

門扉の前に真っ直ぐ真っ白な姿で立っている。 玄関前とリビングの外にあるのは鉢植え、庭にも地植えしてある。両方とも丈や花の数は変わらない。 この花が有り難いのは冬だ。冬の初めに芽を出し、グングン伸びる。グングンと言う言葉を使えるのはこの花と筍くらいだ。千葉県だって最近は寒くて氷が張るが、寒さなど全く意に介さず、肉厚の葉は緑色を保つ。 テッポウユリ。名前は物騒だが一度聞いたら忘れない。 白一…

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「寒い」

寒い。温度計を見ると20度はある。ソファに座ると炬燵が懐かしい。エアコンを暖房にする。 昨日皮膚科を調べ、イオンに行く途中にあるとわかったが、オンライン予約は出来なかった。 冷たい雨の中を出発した。直ぐに分かった。駐車場になっているビルの一階に停め、スマホを出した。 「始めてなんですけど」 「今日は予約で一杯です」 「じゃあ直接行っても診てもらえないでしょうか。近くまで来てるんですが」 …

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「次の役目」

百合が咲いた。百合にしてよかった。この力強さ。幹を持つと堅さが頼もしい。 こんなに綺麗な色だったのか。透き通ったオレンジ色。一点のシミもない。球根を買って2年目。 去年百合が余りにも立派に咲いたので球根を買い足した。花と蕾を数えると10個ある。背丈は1メートル程もあるが、塀の近くで倒れる心配はない。中庭にある百合は少しの風で倒れ掛かる。 玄関に置いてある鋏でバサリとやった。2センチ近くもあ…

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「何処にでもある花」

「鉄子さん、これもらってくれる?」 植木鉢を手にしてご近所さんが言う。 「何処にでもある花なのよ。子供の頃、蜜を吸って遊んだりした」 「ああ、オレンジ色の花が咲く?」 「そうそう。増え過ぎて困ってるのよ。もらってくれたら助かるわ」 この方には私がホームに花を植えている事を話してあり、先日スズランを分けていただいた。ご主人が介護施設で亡くなったばかりだ。 特別派手な花より、子供の頃の思い出があ…

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「お花頂けますか?」

「何か頂けませんか?毎年出て来るお花で」 「あら、いいわよ。これなんかどお?直ぐ増えるわよ」 「ありがとうございます。じゃ、私、町会費届けて来ます」 「その間に用意しとくわ」 私は週の半分は家を空けているので、町会費を集金に来た役員が、何度もカラブリしていた事をご近所さんから聞いていた。私から届ける事になっていた。 戻ると箱に青い花とナデシコに似た白い花が入っていた。早速家に帰り作業した。…

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「スコップが折れた」

スコップを土に刺し、足に力を入れる。ムラサキシキブと薔薇は土の中で根が絡まっているのかかなり手強い。先ず薔薇が抜けた。 ところがムラサキシキブは何度もスコップで掘り出そうとするが、びくともしない。心臓はドキドキ、汗が流れ落ちた。 折れた。先端の鉄の部分と木で出来ている柄の部分で、グシャっと来た。もうスコップは使えない。 巨大な剪定バサミで根を切った。二本切ったところで、手を使いグラグラさせ…