「クラシック音楽」の日記一覧

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ドニゼッティ の歌劇「連隊の娘」 のDVDを視聴して

昨年10月以来の視聴。 舞台は、ナポレオン時代のものから、第2次世界大戦後に移し替えられているが、全く違和感はなかったのは、むしろリアリティがあるからだ。酒保のセット、連隊の衣装、等も含めちょっとした小道具、例えば電話機などにも十分に配慮がされている。 指揮者は今まで聞いたことのない名前だが、その演奏は、若々しく、歯切れがよい。連隊を扱っているからかもしれないが、スネアドラムや金管の切れの良いリ…

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ストラヴィンスキー のペトルーシュカからの3楽章 、プロコフィエフ のピアノ・ソナタ第7番 他をポリーニの演奏で聴く

2022年7月以来の鑑賞。 ストラヴィンスキー/ペトルーシュカからの3楽章。 第1楽章は「ロシアの踊り」。バレエの第1場に出てくる。オーケストラの演奏になじんでいるがピアノ一つによる演奏でこれだけの表現に接することができるのは驚き以外にない。2分余りの演奏を耳にしてポリーニの天才を感じない向きはないものと思われる。 第2楽章は「ペトルーシュカの部屋」。 オーケストラでは第2場の音楽として現れる。…

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セルの指揮でコダーイの 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」・ プロコフィエフの 組曲「キージェ中尉」他を聴く

アルバム・タイトルは「MUSICAL FABLES」。音楽的寓話とでも訳せるだろうか。 コダーイ/組曲「ハーリ・ヤーノシュ」。セルの名演の一つに挙げられる。この曲はフリッチャイの指揮でも聴いている。全体は6つの部分からなる。 第1曲は「序曲」。 第2曲は「ウィーンの音楽時計」。精巧な音楽時計の奏でる陽気な行進曲はセルの指揮による完璧なアンサンブルでより魅力を増す。 第3曲は「歌」。独奏ヴィオラの…

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ドニゼッティ 歌劇「愛の妙薬」のDVDを視聴して

2023年10月以来の視聴。  中古品で入手。開封すると、未開封のいわゆる新古品。まずは驚きとともに満足する。そもそもこのDVDを鑑賞したいと思った理由は、ほかでもないソプラノのネトレプコが歌っているからであった。加えて、テノールのヴィラゾン(ビリャソン)も歌っている。この組み合わせでは、「マノン」と「椿姫」を視聴しているが共に深い感銘をうけた。 「愛の妙薬」はパヴァロッティとキャスリーン・バト…

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プロコフィエフ の交響的協奏曲ホ短調 /ショスタコーヴィチ のチェロ協奏曲第1番を聴く

2023年1月以来の鑑賞。 「新時代の名曲名盤」(音楽之友社)のページをめくっていると、これまで聴いたことがなかったこのCDの紹介の記事が目に留まった。ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番が紹介されていたが、コメントに「併録のプロコフィエフを含め、あらゆる意味で世界遺産級の名盤」とあった。 プロコフィエフ/交響的協奏曲ホ短調。 プロコフィエフがロストロポーヴィチにチェロ協奏曲第1番の改作をを…

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レヴァイン指揮のヴェルディの 歌劇「リゴレット」を視聴する

2021年2月以来の視聴。ドミンゴのマントヴァ侯爵、コトルバスのジルダ、共に非の打ち所がない。この二人は、クライバー指揮の「椿姫」でも歌っている。 リゴレット役のマクニールは心理描写を伴う歌と演技は流石に経験豊富なところを見せる。権力に胡坐をかき、我が物顔の貴族たちに対する憎しみの感情もよく表れていた。 主役陣もソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バリトン、バスがバランスよく配置されており、効果…

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プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番 ・第2番を聴いて

ヴァイオリン協奏曲第1番。 プロコフィエフが音楽学生の時に書かれた曲。 第1楽章にはアンダンティーノの表記がありヴァイオリン独奏による抒情的な旋律が印象的だ。同時にベルキンの奏でるヴァイオリンの音色の美しさに魅力を感じる。 第2楽章は協奏曲としては珍しいスケルツォ。ベルキンの卓越した技巧が聴きどころだ。気迫のこもった切れ味の鋭い演奏は聴く者に強く訴えかける。短い楽章だが、プロコフィエフの才気が迸…

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ネトレプコが演唱するマスネ の歌劇「マノン」のDVDを視聴して

2023年6月以来の視聴。 この歌劇は、フレミングが演唱した、ヘスス・ロペス=コボス指揮のパリ・オペラ座管弦楽団のDVDがとても素晴らしいという印象をもっている。果たしてこの演奏は。予想通りであった。バレンボイムの演奏は、たとえて言えば、カロリーが多すぎる食べ物にも似ていて、しかも思わせぶりなところが多すぎた。演出も、1950年代に時代は変えられている。照明用のライトをもった人間が舞台の上に現れ…

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チャイコフスキー の交響曲第6番「悲愴」をクレンペラーの指揮で聴く

2021年12月以来の鑑賞。 曲の冒頭からして、骨太の響きをオーケストラから紡ぎだしているところはいかにもクレンペラーらしい。フルートとファゴットの呼応など思わず聴き入る。そして、常に豊かな低弦が音楽を支えている。アレグロに入る前のクラリネットにすでに秘められたエネルギーを感じる。嵐のような展開部は迫力に満ち、重厚なオーケストラの音色は苦悩を劇的の表現している。 第2楽章も軽やかさや華やかさとは…

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クレンペラーの指揮で聴くチャイコフスキー の交響曲第5番

2021年12月以来の鑑賞。 第1楽章の冒頭でクラリネットが奏でるテーマは、以後、時には形を変えて何度となく姿を現す。クレンペラーは例によって木管を十分に鳴らし、深い味わいをもたらす。主部はアレグロ。仄暗さを帯びながら音楽は進む。その中に豊潤な抒情が織り込まれ、かつ冒頭のテーマが絡み合い、魅力的な音楽になっている。 第2楽章は弦に導かれるようにして、ホルンが印象的な主旋律を奏でる。この旋律を聴く…

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クレンペラーの指揮で聴くチャイコフスキーの 交響曲第4番

2021年12月以来の鑑賞。 クレンペラーのチャイコフスキーというと意外な感じがしたものだが、手元には5番と6番もある。ずいぶん前に購入したが、クレンペラーがチャイコフスキーを演奏したらどんな音楽になるのだろうという思いからだったと記憶している。4番はベームのLPもあるが、同じような思いで購入した。愛聴盤はムラヴィンスキー、ロストロポーヴィチ指揮のもの。 クレンペラーの演奏を少し聴き進めると前述…

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プロコフィエフ のヴァイオリン・ソナタ第1番 ・第2番他をクレーメルとアルゲリッチの演奏で聴く

ヴァイオリン・ソナタ第1番。 初めて聴く作品。クレーメルとアルゲリッチは他にも幾多の名演を残しているが、この演奏もお互いの特徴を余すところなく発揮した名演だ。怜悧ながら高度な技巧を持ちつつもそれをひけらかすことのないクレーメル。アルゲリッチは情熱的で力強く燃焼度の高い演奏を展開するものの、抑制すべきところは心得ている。第1楽章には2人の特質がすでに凝縮されている。 第2楽章ではそうした点が顕著だ…

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ムソルグスキー の組曲「展覧会の絵」と ラヴェルの 「ラ・ヴァルス」をアバド指揮の演奏で聴く

2020年17月以来の鑑賞。 冒頭のプロムナードでアバドの演奏の特徴の一つである、透明感のある演奏に接することができる。不純物が混在していないため、各楽器の音の粒立ちが良い。 「こびと」の次のプロムナードでその思いはより確かなものになる。 「古城」でのサキソフォンのソロの響きも、弱音器をつけているであろうヴァイオリンの響きも整然としている。 「ビドロ」ではチューバのソロが登場するが、その音色は洗…

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メンデルスゾーン/ 交響曲第3番「スコットランド」/ 交響曲第4番「イタリア」をクレンペラーの指揮で聴く

2022年11月以来の鑑賞。 交響曲第3番「スコットランド」。 長大な序奏は仄暗く、低く雲がたれ込めているかのような陰鬱な気分だ。序奏から派生したような第1主題は、多少の激しさを伴うものの、気分は大きくは変わらない。第2主題は木管で奏でられるものの、第1主題との雰囲気の違いは少ない。クレンペラーの演奏では木管がよく響くという特徴がここでも聴くことができる。 休みなしに第2楽章へ。気分は一転する。…

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プロコフィエフの ピアノ協奏曲第3番 ・ラヴェルの ピアノ協奏曲ト長調 他をアルゲリッチのピアノで聴く

2020年2月以来の鑑賞。 アルゲリッチが最初にオーケストラと録音したもの。 当時26歳であったとことが解説書でわかる。 プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番。 ダイナミズムに溢れる音楽は、アルゲリッチのピアノとの相性もよさそうだ。一方、抒情的な楽句においてもだ。息を飲むようなアルゲリッチのピアノの響きの美しさと技巧の幅の広さと豊かな表情がここにある。それらをサポートするアバドの指揮するオーケスト…

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ムソルグスキー /「はげ山の一夜」(オリジナル版) プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 他をテンシュテットの指揮で聴く

2019年2月以来の鑑賞。 ムソルグスキー:「はげ山の一夜」(オリジナル版)。 一般的にはリムスキー・コルサコフの編曲によるものが演奏され、CDもこちらが流通している。自身も一般的な編曲のゲルギエフとデュトワの演奏を聴いている。テンシュテットはオリジナル版を選択したが、聴いていて粗野な感じがぬぐえないものの、こちらを好んだのだろう。 プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番。 第1楽章を聴いていて、…

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プロコフィエフの 交響曲第1番「古典」・第5番をデュトワの指揮で聴く

交響曲第1番「古典」。 ジュリーニとゲルギエフの演奏で聴いてきた。前者は「展覧会の絵」の余白に収められていたLP。後者は交響曲全集からであり、当然第5番も聴いていた。ハイドンが生きていたら書いたであろう交響曲をプロコフィエフが書いたと伝えられている。 第1楽章の冒頭から、確かに作曲者の言による通りだと頷く。 第2楽章はラルゲット。「古典」的な趣が支配的だが、至る所にプロコフィエフが生きた時代なら…

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シベリウス の交響詩「フィンランディア」 「カレリア」組曲他をバルビローリの指揮で聴く

2018年1月以来の鑑賞。 交響詩「フィンランディア」。 シベリウスの代表作の一つ。カラヤンのLPで聴いたのが最初だった。ここでのバルビローリの演奏も素晴らしい。思わず涙腺が緩みそうになった。 「カレリア」組曲。「間奏曲」は堂々とした行進曲風の音楽。輝かしいトランペットの響きに導かれ、高揚感をもった展開を見せる。かすかに聞こえるタンバリンの音も好ましい。「バラード」は民族色漂う旋律で構成される…

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シベリウス の交響曲第7番 ・劇不随音楽「ペレアスとメリザンド」他をバルビローリの指揮で聴く

2018年1月以来の鑑賞。 交響曲第7番。 単一楽章による交響曲だが、4つの部分からなる。最初は、アダージョ。開始は幻想的でもあり、神秘的でもあるが、基底には夜明け前の冷気を思わせる厳しさがうかがえる。 ヴィヴァーチッシモは動きの多い音楽だ。うねるようなオーケストラの響きは、大地の自然のざわめきや大気の動きを思わせる。 アレグロに入るとスケールの大きな音楽はフィンランドの森や湖の美しい光景をイメ…

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ベーム指揮によるベートーヴェン の序曲集をLPで聴く

2017年8月以来の鑑賞。棚を見ると序曲集としてまとまったものは、ジンマン指揮のものと、テンシュテットのものだけしかなく、LPではこの1枚だけである。交響曲や協奏曲の余白に収められていることが多いため、序曲をまとめて聴く機会はあまりなかったように思う。このLPのA面はウィーン・フィル、B面はドレスデン国立管弦楽団によるものだ。今思うとなかなか粋な計らいともいえる。 「エグモント序曲」はウィーン・…