古書店を訪れる奇妙な人々

三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖」を読了した。著者は、電撃小説大賞に応募してデビューしており、いわゆるライトノベル出身の作家である。本書は、北鎌倉にある古書店「ビブリア古書堂」に持ち込まれた古書に纏わる謎を、怪我で入院中の古書店の女主人篠川栞子が解くという、安楽椅子型ミステリーの連作短編集であるが、全体として栞子が入院した経緯を巡る長編の趣もある。物語自体は、古書店の従業員である五浦大輔のモノローグとして語られる。
 第一話 夏目漱石「漱石全集・新書版」:主人公の五浦大輔は、本好きであるにも関わらず、幼少時に祖母に叱られたトラウマから1冊の本を読み通す