只天下のためを存おり候

生田美智子の「高田屋嘉兵衛−只天下のためを存おり候−」を読了した。著者は、大阪大学大学院言語文化研究科教授で、専攻はロシア語である。本書は、司馬遼太郎の「菜の花の沖」の主人公である高田屋嘉兵衛に関する評伝である。内容は以下の通り。
 第一章「淡路に生まれて」:淡路島の都志で生まれてから、故郷を出奔するまでで、少年時代に、潮流を読む眼を養ったこと、ふさとの大恋愛等が描かれている。
 第二章「兵庫で高田屋創業」:兵庫に出奔した後、水主から沖船頭に出世し、さらには紀州での鰹漁で蓄財し、高田屋を旗揚げし、北前船辰悦丸を建造し、蝦夷地との交易に乗り出す経緯が詳述さ