38、メルゼブルクの「呪文」

5月31日、旅の5日目。朝食のレストランは中庭に面した高い樹林の見える窓際に坐った。
 傍の壁の前に、アンナ・アマーリア皇太后の胸像が置かれていた。
 美味しい朝食を済ませて、8:50、短いヴァイマル滞在に、気分的には後ろ髪を引かれる想いでバスに乗り込んだ。
 「Guten Morgen!皆様」鶴田さんの元気な声に、皆が同じように応える。
 ヴァイマルからゲーテ街道を北北東に進むとライプツィヒがあり、ライプツィヒの西にハレというヘンデルの生まれた町がある。そのふたつの町の中間辺りにあるメルゼブルクに向かう。
 この町は配られたドイツの街道を示したA3版の